研究課題
セレノシステイン(Sec)は、本来タンパク質の翻訳が終結する終止コドンUGAによってコードされている。UGAをSecとして翻訳するためには、mRNAのUGA下流に存在してステム-ループ型二次構造を形成するセレノシステイン挿入配列(SECIS)と、それに結合する特殊な翻訳伸長因子(SelB)が必要である。複数種の異なるセレンタンパク質をもつ生物において、各々のセレンタンパク質mRNAのSECISの配列、長さ、形状には多様性が認められる。このように多様なSECISをSelBがどのようにして認識するのかは未だ解明されていない。大腸菌宿主において、どのようなSECISが機能しやすいのかを定量的に解析するために、大腸菌のセレンタンパク質であるギ酸脱水素酵素遺伝子(fdhF)の開始コドンからSECIS配列までを含むDNA断片にホタル由来ルシフェラーゼ遺伝子(fLuc)断片を連結したコンストラクトを挿入したプラスミド(使用ベクター: pCold IV)を作製した。本プラスミドを大腸菌の野生株とselB欠損株(ネガティブコントロール)に導入し、解析条件の検討を行った。その結果、培地を取り除きPBSで懸濁すること、また5分間インキュベートすることで最も強い発光を示すことが明らかとなった。これらの条件で実験を行なったところ、野生株はselB欠損株の約3 倍の発光強度を示した。次に、ゲノム上に10種のセレンタンパク質遺伝子を有する Geobacter sulfurreducensを対象としBioinformatics Web Server for RNAを用いて各セレンタンパク質に対応するSECISの推定を試みた。その結果、9種のセレンタンパク質に対応するSECISの配列および二次構造を予測することができた。
2: おおむね順調に進展している
SECISをスクリーニングするためのアッセイ系を構築するとともに、9種のセレンタンパク質に対応するSECISの配列および二次構造を推定できたことから、研究はおおむね順調に進展していると考える。
申請書の計画に沿って研究を遂行する。Geobacter sulfurreducensの9種のセレンタンパク質のSECISに対する大腸菌セレンタンパク質生合成系の効率を明らかにする。
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Biochimica et Biophysica Acta (BBA) - General Subjects
巻: 1862 ページ: 2433~2440
10.1016/j.bbagen.2018.05.023
http://research-db.ritsumei.ac.jp/Profiles/64/0006361/profile.html