研究課題/領域番号 |
18K19206
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
平塚 和之 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (30202279)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 植物病原菌 / さび病菌 / エフェクター / NGS解析 |
研究実績の概要 |
本年度は当初の計画通り、比較的菌体の入手が容易で、技術的蓄積があるメダケ赤衣病菌(Stereostratum corticioides)を用いて優良解析試料DNAの取得を試みた。当初はガラスホモジナイザーを用いてDNA抽出操作を行うことを計画していたが、小容量の実験には適応不可能であることから、1.5mLマイクロチューブの中でプラスチック製のペッスルを用いて菌体(冬胞子)を破砕する方法を試行した。その結果、メダケ赤衣病菌を用いた場合はほぼ十分な磨砕効率が得られることが判明した。一方、比較のためにササ類さび病菌(Puccinia sp.)を用いた場合では、十分なDNA量が得られず、今後に課題を残した。その理由は、磨砕操作の結果生じた微少なキズを有するチューブ表面やペッスルに無視できないDNA吸着が生じている可能性が考えられた。今のところ、ガラスホモジナイザーか、モーターで駆動させたプラスチック製ペッスルを用いる方法以外にさび病菌の胞子から効率良く核酸試料を抽出可能な系は見あたらないが、この方法ではガラス面あるいはプラスチック面に対する吸着は不可避であり、微量サンプルのNGS解析を想定した場合、重要な今後の検討課題であると思われる。 一方、ゲノム情報からのエフェクター候補遺伝子の探索については、既存のゲノム情報を用い、特定のアミノ酸配列をプローブとした配列探索を試み、効率改善の余地は大いにあるものの、一定のノウハウを得ることが出来た。 また、アグロバクテリウム法あるいは遺伝子銃をもちいたエフェクター因子の特徴付けに関しては、96穴プレートを用いた一過性発現系に目途がつき、レポーター系を組み合わせることにより遺伝子機能解析に活用できると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ゲノム解析や、遺伝子導入法に関する進展は期待通りであったが、DNA抽出手法の問題点に行き詰まり、さらに想定外の大学業務の多忙と老母介護がかさなり、予定していた実験研究時間が十分確保出来ず、NGS解析を実施出来なかったことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画していた、超微量試料からのDNA試料調製は継続して試行するが、それに拘泥せずに、得られたDNAサンプルを用いてメダケ赤衣病菌のゲノム解析をすすめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していたNGS解析が実施出来なかったことにより、関連の経費を次年度に全て持ち越す必要が生じたことによる。
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