研究課題/領域番号 |
18K19216
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
石井 尊生 神戸大学, 農学研究科, 教授 (20260648)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 野生イネ / 生態型 / Oryza rufipogon |
研究実績の概要 |
本研究では、一年生と多年生の生態型がみられるアジアの野生イネOryza rufipogonを研究対象として、その生態型決定機構の解明を目的としている。本年度は、生態型の違いを導く器官として節に注目し、その形成能力に関する遺伝解析を行った。 栽培イネのほとんどは地際の節に茎頂分裂組織があるため、幼穂形成もそこで行われる。一方、野生イネには節を上に移行するものがみられる。この組織からは芽と根が形成されるため、多年生の成長戦略に関係が深いと考えられる。そこで、節を上に移行する野生イネ系統O. rufipogon W149と幼穂形成まで節を上昇させない栽培イネ2品種(O. sativa Japonica NipponbareおよびIndica IR36)をそれぞれ交雑した。今年度は、栽培イネで戻し交雑したBC1F1集団(Nipponbare由来:142個体、IR36由来:142個体)を用いて、まずは約100個のSSRマーカーについての分子連鎖地図を作成した。その結果、全長はNipponbareとIR36由来のものが、それぞれ1166 cMおよび1626 cMであり、分離比に歪みのある領域が約13%および26%みられた。 BC1F1個体については、さらにポットで育成し、節の上昇に関係する形質の調査を行なった。そして、各個体の分子マーカー座の遺伝子型と形質値を用いて、節の上昇に関するQTL解析を行った。その結果、野生種由来の対立遺伝子が比較的強い効果を持つ遺伝子座が2つの集団で共通して3カ所推定された。 なお、次年度にはそれぞれの遺伝子座についての後代検定を計画しているため、BC1F1個体の自殖種子を収穫した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、節の上昇に関するQTL解析を行った。また、次年度に計画している後代検定用の種子も収穫できた。
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今後の研究の推進方策 |
後代検定は、それぞれの個体由来で分離する集団を展開し、QTL近傍のマーカーを用いて遺伝子型の推定を行うことになる。その選抜は幼苗期に多数個体に対して行うため、正確なデータを得ることを心がける。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)昨年作製したBC1F1集団はそれぞれ約150個体であった。これらは解析には支障がなかったが、規模が予定より小さかったため。 (使用計画)次年度は多数の個体を用いる後代検定を行う予定であるので、翌年度請求分と合わせて、解析試薬等の購入に充当する。
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