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2018 年度 実施状況報告書

植物ウイルスおよびウイロイドによる宿主遺伝子の発現抑制機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K19219
研究機関立命館大学

研究代表者

竹田 篤史  立命館大学, 生命科学部, 教授 (60560779)

研究分担者 佐藤 昌直  北海道大学, 農学研究院, 助教 (20517693)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワード植物ウイルス / ウイロイド / siRNA / AGO / 遺伝子発現抑制
研究実績の概要

本研究の目的は、ウイルスおよびウイロイド感染時に生じるsmall-interfering RNA (siRNA)が果たす役割を明らかにすることである。これらのsiRNAが作用しうる標的mRNAを正確に同定するために、AGO1およびAGO2とsiRNAの複合体の標的mRNA認識特異性を明らかにすることを試みている。
平成30年度には、AGO1とAGO2の標的mRNA認識特異性を検証するために以下の実験を行った。
(1)AGO1の標的mRNA認識特異性に関して:タバコにおける一過的なルシフェラーゼアッセイによって、AGO1-small RNAと標的mRNA間にG:U wobbleが生じる場合の遺伝子発現抑制能を検証した。その結果、植物のRNAサイレンシングにおいて、small RNAと標的mRNA間のG:U wobbleは、塩基対とミスマッチの中間的な影響を持つことが示唆された。
(2)AGO2の標的mRNA認識特異性に関して:AGO2-small RNAの標的mRNA認識特異性を検証するために、先行研究(Nucleic Acids Research, 2016, 44, 1384-1397)に従って、miR390およびmiR408を用いた一過的なルシフェラーゼアッセイを行った。しかし、先行研究と同様のAGO2に依存した遺伝子発現抑制を示す結果は得られなかった。AGO2-small RNAの特異性を検証するための系の確立には至っていない。また、採択時の研究実施計画に従い、AGO2を過剰発現するタバコと、Cas9を用いてAGO1およびAGO2をゲノム編集するためのタバコを作出する実験を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

AGO1-small RNAの特異性の検証はおおむね順調に進展している。植物のRNAサイレンシングにおけるsmall RNAと標的mRNA間のG:U wobbleの影響について、新たな知見が得られた。また、超並列レポーターアッセイの予備実験を開始しており、AGO1-small RNAの特異性に関する研究は計画通りに進展している。
他方、タバコにおける一過的発現によってAGO2-small RNAの特異性を検証するための系の確立には至らなかった。AGO7への取り込みが抑えられるmiR390-flipを用いた実験も行ったが、うまくいかなかった。一連の実験から、この系の確立のためには、内在性のAGO7の影響を除去する必要性が示唆された。そこで、ゲノム編集タバコを作出した後、再度系の確立を試みる予定である。
AGO2を過剰発現するタバコと、Cas9を用いてAGO1およびAGO2をゲノム編集するためのタバコの作出は順調に進行している。引き続き組織培養を継続し、遺伝子組換えタバコの作出を行う。
上述の通り、平成30年度の研究は、AGO2-small RNAの特異性に関する実験を除いて順調に進展した。AGO2-small RNAの特異性に関する実験についても新たな対応策を考え、実験を進めている。以上より、「(2)おおむね順調に進展している」の評価とした。

今後の研究の推進方策

平成30年度の進捗状況を踏まえて、令和元年度は以下の実験を行う計画である。
(1)AGO1-small RNAの特異性に関しては、small RNAと標的mRNA間にG:U wobbleとミスマッチがある場合の遺伝子発現抑制の有無についての検証を完了させる。また、超並列レポーターアッセイの系を確立し、個別行ったレポーターアッセイの結果との整合性を検証する。この二つの実験結果の間に強い正の相関が認められた場合、以降の特異性に関する実験は、超並列レポーターアッセイを中心に進めていく計画である。超並列レポーターアッセイの結果をもとに、ウイルス・ウイロイド由来のsiRNAの標的mRNAを予測するためのプログラムを作成する。
(2)AGO2-small RNAの特異性に関しては、以下の工夫をする予定である。miR390は、AGO2以外にAGO7に取り込まれてTAS3 RNAを切断することが知られている。そこで、AGO7の影響を排除してAGO2の特異性を調べるために、AGO7遺伝子をゲノム編集することを試みる。AGO7破壊タバコの作出を完了した後、再度AGO2依存的な一過的レポーターアッセイによる遺伝子発現抑制の誘導が可能かどうかを検証する。
(3)AGO2を過剰発現するタバコと、Cas9を用いてAGO1およびAGO2をゲノム編集するためのタバコを作出するための組織培養を継続する。令和元年度中に初代組換え植物を複数ライン作出することを目指す。AGO2発現およびCas9による変異導入を確認した後、自家受精によって外来遺伝子およびCas9による変異を固定する。並行して、タバコのAGO1a、AGO1b、AGO2に対する抗血清を作出する。Cas9による破壊株の作出・固定に成功したら、抗血清の特異性決定のためのネガコンとしても利用する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (4件)

  • [学会発表] 生物発光によるグラム陰性細菌の増殖定量を可能にする汎用性プラスミドベクター2019

    • 著者名/発表者名
      峯彰、松本歩、下川心平、竹田篤史
    • 学会等名
      平成31年度日本植物病理学会大会
  • [学会発表] ゲノム編集技術によるBBF2およびBBF3遺伝子ノックアウトタバコの作出2018

    • 著者名/発表者名
      鈴木新、井手口真也、竹田篤史、丹生谷博、松下保彦、佐々木信光
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] ウイルス感染時におけるAGO1-vsiRNAの標的となる植物mRNAの予測2018

    • 著者名/発表者名
      堀裕和、岩橋美穂、白谷公孝、佐藤昌直、峯彰、竹田篤史
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] カリモウイルス科のウイルス由来Fltプロモーターを利用した同時過剰発現系の構築2018

    • 著者名/発表者名
      宮﨑光洋、竹内信弘、峯彰、竹田篤史
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会

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公開日: 2019-12-27  

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