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2019 年度 実施状況報告書

バクテリアからクジラまで、全生物群集構造同時解析法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K19223
研究機関首都大学東京

研究代表者

伊知地 稔  首都大学東京, 理学研究科, 客員研究員 (10633894)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワード環境RNA / 全生物群集構造同時解析 / ロングリードシーケンス
研究実績の概要

本年度目は、全生物群集構造同時解析のためのリファレンスデータの整備と、昨年度から引き続きrRNAを対象としたデータ取得を行なった。rRNAを対象とした要素技術において、逆転写はオリゴdTプライマーを用いる方法(原核生物はポリA付加後)を採用した。初年度は、この方法で問題なく実験が実施できていた。しかし、今年度は実験が上手くいかなくなった。トラブルシューティングしても、前年度に実験が実施できた試料ですら、実験が上手くいかなかった。しょうがなく、実験が実施できる試料を選抜して実験したが、研究遂行に想定以上に時間を要してしまった。
全ての遺伝子(転写産物)を対象にした要素技術の開発は断念した。これは、プローブの合成依頼を予定していた会社がヒトを始めとした医学系の受注のみにサービスを縮小した為に、その合成依頼が不可能になったからである。他社にも見積もり依頼をしたが、少なくとも当初予定価格の10倍(1,000万円)以上とのことであった。代わりに、ショートリードシーケンサーの1フローセルで1サンプルをシーケンシングする試みを行った。
水試料から高品質なRNAの取得を可能にする、携帯型ろ過装置の開発を行った。これは、昨年度に開発した自動採水ろ過装置の機能のうち、携帯性とろ過のみに絞った装置である。複数の研究者と、国や民間の調査員に使用してもらい、仕様の更新も行った。
新たな試料採取法としてフィルター捕集タイプと液体捕集タイプ、2つの自動大気ろ過装置の試作を行い、試料採取が可能であるのを確認した。大気は土や水よりも生物密度が薄く、より大きな体積から試料を濃縮する必要がある。また、大気環境核酸の一部は皮脂に包まれた剥き出しの核酸である可能性を示唆する研究結果もある。それらは、一般的なフィルターによる捕集は困難なので、液体による捕集が有効であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

rRNAを対象とした要素技術において、逆転写はオリゴdTプライマーを用いる方法(原核生物はポリA付加後)を採用した。初年度は、この方法で問題なく実験が実施できていた。しかし、今年度は実験が上手くいかなくなった。トラブルシューティングしても、前年度に実験が実施できた試料ですら、実験が上手くいかなかった。しょうがなく、実験が実施できる試料を選抜して実験したが、研究遂行に想定以上に時間を要してしまった。
全ての遺伝子(転写産物)を対象にした要素技術の開発は断念した。これは、プローブの合成依頼を予定していた会社がヒトを始めとした医学系の受注のみにサービスを縮小した為に、その合成依頼が不可能になったからである。他社にも見積もり依頼をしたが、少なくとも当初予定価格の10倍(1,000万円)以上とのことであった。

今後の研究の推進方策

来年度目は、今年度に得られた全生物群集構造同時解析とショートリードシーケンサーの1フローセルで1サンプルをシーケンシングしたデータの解析を進める。全生物群集構造同時解析のためにはリファレンスデータの整備が必要であり、ここは継続してデータ取得を行う。

次年度使用額が生じた理由

rRNAを対象とした要素技術において、逆転写はオリゴdTプライマーを用いる方法(原核生物はポリA付加後)を採用した。初年度は、この方法で問題なく実験が実施できていた。しかし、今年度は実験が上手くいかなくなった。トラブルシューティングしても、前年度に実験が実施できた試料ですら、実験が上手くいかなかった。しょうがなく、実験が実施できる試料を選抜して実験したが、研究遂行に想定以上に時間を要してしまった。
次年度は、当該助成金で必要な残りのシーケンシングとデータ解析、成果発表を行う。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Vertical distribution of particle-associated and free-living ammonia-oxidizing archaea in Suruga Bay, a deep coastal embayment of Japan2019

    • 著者名/発表者名
      Ijichi Minoru、,Itoh Hajime、Hamasaki Koji
    • 雑誌名

      Archives of microbiology

      巻: 201 ページ: 1141~1146

    • DOI

      10.1007/s00203-019-01680-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Spatiotemporal distribution of juvenile chum salmon in Otsuchi Bay, Iwate, Japan, inferred from environmental DNA2019

    • 著者名/発表者名
      Minegishi Yuki、Wong Marty Kwok-Shing、Kanbe Takashi、Araki Hitoshi、Kashiwabara Tomomi、Ijichi Minoru、Kogure Kazuhiro、Hyodo Susumu
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 14 ページ: ー

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0222052

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Factors Regulating Nitrification in the Arctic Ocean: Potential Impact of Sea Ice Reduction and Ocean Acidification2019

    • 著者名/発表者名
      Shiozaki Takuhei、Ijichi Minoru、Fujiwara Amane、Makabe Akiko、Nishino Shigeto、Yoshikawa Chisato、Harada Naomi
    • 雑誌名

      Global Biogeochemical Cycles

      巻: 33 ページ: 1085~1099

    • DOI

      10.1029/2018GB006068

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] これから環境DNAによる調査・研究を始める方へ2019

    • 著者名/発表者名
      伊知地 稔
    • 雑誌名

      日本海水学会誌

      巻: 73 ページ: 273~280

    • オープンアクセス
  • [学会発表] カビ臭産出藍藻類のゲノム解析2020

    • 著者名/発表者名
      半田 佳宏、伊知地 稔、山口 晴代、諸橋 伸行、阿部 洋子、河地 正伸、中野 江一郎
    • 学会等名
      第54回日本水環境学会年会(2019年度)
  • [学会発表] はじめての環境 DNA から、その未来像まで2019

    • 著者名/発表者名
      伊知地 稔
    • 学会等名
      第2回NPO法人有明海再生機構ワークショップ
    • 招待講演
  • [学会発表] 分析会社の視点から:元大学研究者からみた環境DNAの将来2019

    • 著者名/発表者名
      伊知地 稔
    • 学会等名
      応用生態工学会第23回広島大会
    • 招待講演
  • [学会発表] OceanDNAを用いた黒潮続流前線付近の魚類部分に関する考察2019

    • 著者名/発表者名
      伊藤 進一、由上 龍嗣、上村 泰洋、渡邊 千夏子、吉澤 晋、伊知地 稔、伊藤 幸彦、石川和雄、郭 晨穎、榎本 めぐみ
    • 学会等名
      2019年度水産海洋学会研究発表大会
  • [学会発表] 日本産ナマズ属の種判定およびマイクロサテライトDNAマーカーの開発2019

    • 著者名/発表者名
      岸本 友、奥山 永、田畑 諒一、伊知地 稔、勝又 啓史、川内 智裕、中野 江一郎、高橋 純一
    • 学会等名
      日本DNA多型学会第28回学術集会

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公開日: 2021-01-27  

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