| 研究課題/領域番号 |
18K19228
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| 研究機関 | 信州大学 |
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研究代表者 |
安江 恒 信州大学, 学術研究院農学系, 准教授 (00324236)
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| 研究分担者 |
半 智史 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40627709)
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| 研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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| キーワード | 年輪 / 形成層 / フェノロジー / 肥大成長 / ラベリング / 13C |
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| 研究実績の概要 |
「年輪の形成は１年のうちに終了しているのか」の検証を目的とし，多様な環境に生育している多樹種を対象に年輪形成過程の顕微鏡組織学的観察と13CO2パルスラベリングによる前年年輪への同化物利用の有無の確認を行った。本年度は，(1)調査地および供試木の選定を行い，選定した樹種から順次，(2)年輪形成過程の顕微鏡組織学的観察および(3)13CO2パルスラベリングを実施した。
(1)調査地および供試木の選定:「亜寒帯林」「落葉広葉樹林帯」「常緑広葉樹林帯」において優占する樹種を対象として供試木の選定を行った。「亜寒帯林」について，信州大学西駒演習林の森林限界（標高2500m）においてハイマツ，オオシラビソ，ダケカンバを選木した。「落葉広葉樹林帯」について，信州大学手良沢山演習林および構内演習林においてヒノキとスギを設定した。「常緑広葉樹林帯」について，東京農工大学構内苗畑およびFM多摩丘陵においてシラカシ，ネズミモチを供試木として設定した。
(2)年輪形成過程の顕微鏡組織学的観察:スギ，ヒノキについてはナイフマーキング試料の観察により，成長期を通した年輪形成過程を把握した。ハイマツ，オオシラビソ，ダケカンバについては11月より，シラカシ，ネズミモチについては2019年３月よりナイフマーキングおよびブロック試料の採取を開始した。
(3)13CO2パルスラベリング:スギ，ヒノキについては，ラベリング済みの試料について13C濃度の年輪内変動の測定を行った。その結果，ヒノキにおいて４月12日までに光合成された炭素は前年年輪において検出されたが，４月15日以降に光合成した炭素は前年年輪に検出されなかった。このことは，前年年輪における細胞壁の堆積が形成層活動再開前の4月のうちに終了している事を示唆している。
シラカシ，ネズミモチにおいては３月27日にラベリングを実施し，現在経過観察中である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「亜寒帯林」について，ハイマツ，オオシラビソ，ダケカンバの３樹種，「落葉広葉樹林帯」について，ヒノキとスギの２樹種，「常緑広葉樹林帯」について，シラカシ，ネズミモチの２樹種の計７樹種について供試木を選定し，年輪形成過程の観察を開始した。また，ヒノキ，スギ，シラカシ，ネズミモチの４樹種について13CO2パルスラベリングを実施し（過年度実施も含む），経過を追跡中である。異なる時期にラベリングを行ったヒノキ供試木については炭素同位体比の年輪内変動を測定し，前年年輪の細胞壁形成に当年光合成生産物が利用されていること，形成層分裂再開までにその利用が行われなることをあきらかにした。当初計画に対してほぼ順調に研究が進行している。
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| 今後の研究の推進方策 |
2019年度においては，13CO2パルスラベリングを未実施の亜高山帯樹種についてラベリングを実施する。また，選定済みの全ての供試木に対して，引き続き年輪形成活動の観測を継続する。また，2019年成長初期にパルスラベリングを実施する５樹種について，肥大成長終了後に木部試料採取を行い，順次試料調製の後，質量分析計による同位体比測定に供する。加えて，年輪最外部における細胞ごとの13Cの局在をあきらかにするため，新たにnano-SIMSの適用を検討する。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
大きな金額を占める13CO2ガス購入について，発注後納入まで数ヶ月かかり，年度内の納入が出来なかった。次年度には納入され使用出来る予定である。CO2センサーについては，同程度の性能を有する安価な新製品の購入が可能となった。一方，次年度には新たにnano-SIMSの適用を予定しており，使用料に充当する。
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