研究課題
本研究では,申請書らが新たに発見したポリアミンとCO2の高い親和性という化学的性質から「生体内でもポリアミンがCO2濃縮に寄与し,海洋生物の石灰化反応,光合成の促進,および生体内のpH調整に寄与している」との仮説を立証するため以下の3項目を柱に研究を行う。1)生体内ポリアミンーCO2結合体(カルバメイト体)のNMRを用いた検出,2)ポリアミン生合成および輸送体阻害剤がサンゴ稚ポリプの石灰化部位のpH上昇に及ぼす影響,3)高CO2条件でのポリアミンによる石灰化反応と海洋生物の石灰化速度の相同性の検証を行った。その結果、1)では、微生物の生体試料を直接NMR管に封入し、測定を試みたがバックグラウンドが高くシグナルを検出するには至らなかった。今後は、簡単な精製や質量分析を併用した方法で検討していく予定である。2)では、ポリアミン輸送体阻害剤が、サンゴ稚ポリプの石灰化部位のpH上昇を有意に阻害することが明らかにすることができた。ポリアミン生合成阻害剤には有意な効果は無かった。3)では、ポリアミンによる石灰化反応とサンゴ稚ポリプの骨格形成は共に、高CO2条件で有意に低下し、高い相同性を示した。本研究により、生体内のカルバメイト体を直接検出するには至らなかったが、新たな検出法開発への道筋を得た。また、稚サンゴにおいて、ポリアミン輸送体の骨格形成への関与を初めて明らかにでき、ポリアミンによる石灰化反応と稚サンゴの骨格形成に高い相同性を示すことが出来た。
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