研究課題/領域番号 |
18K19239
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
古谷 研 創価大学, 理工学研究科, 教授 (30143548)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | ヤコウチュウ / 赤潮 / 共生藻 / 温暖化 |
研究実績の概要 |
前年度まででヤコウチュウ増殖の水温特性および窒素栄養塩取り込み特性について当初予定した成果を得た一方で、本課題のもう一つの柱であるフィールド調査によるヤコウチュウブルームの動態解明にについて当初予定した以上の成果を得るべく、研究期間を延長してフィールド調査による解析を重点的に実施する予定であった。しかしながらコロナ禍による海外渡航規制のため現場における調査が全くできなかった。 こうした状況から今年度は実験室における解析を進めた。まず、窒素栄養塩取り込み特性についてこれまでの実験結果の再現性を確認した。さらに、15Nで標識した餌(Dunaliella tertiolecta)の給餌実験から、ミドリヤコウチュウが細胞内に高濃度で蓄積するアンモニアは餌由来では無く細胞外の海水から取り込んだものが主であることが明らかになった。次に、ホストのみの生理特性を解析するためにミドリヤコウチュウの脱共生株の確立を試みた。ミドリヤコウチュウは暗条件下で徐々に共生藻を失い、2週間で9割以上が脱共生した。この脱共生の期間および程度には栄養塩濃度依存性が無く、また給餌の有無に依らなかった。しかしながら暗条件下ではミドリヤコウチュウ自身の細胞数も急激に減少し、最終的に得られる脱共生したミドリヤコウチュウの細胞数は5%程度以下であった。脱共生したミドリヤコウチュウは給餌下で増殖し、ミドリヤコウチュウの生存に短期的には必須では無いことが示唆された。しかしながら、餌をうまく摂餌できない細胞が多く、脱共生後2-3ヶ月で死滅し、その増殖は不安定であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までで、培養実験は当初の予定通りの成果を得ており、また、マニラ湾のフィールド調査結果を踏まえた解析により本研究の目的である温暖化に伴うミドリヤコウチュウ分布の北進の可能性を解析するための知見をほぼ得ることができた。しかしながら、本課題のもう一つの柱であるフィールド調査によるヤコウチュウブルームの動態解明にについて当初予定した以上の成果を得るべく、研究期間を延長したが、コロナ禍による海外渡航規制のため現場における調査が全くできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍が落ち着いて安全な海外渡航が可能になった場合には、マニラ湾におけるフィールド調査を実施する。また、実験室において、ミドリヤコウチュウの遺伝子解析を行い、我が国沿岸に生息するヤコウチュウとの類縁関係を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題の柱であるフィールド調査によるヤコウチュウブルームの動態解明にについて研究期間を延長してフィールド調査による解析を重点的に実施する予定であった。しかしながらコロナ禍による海外渡航規制のため現場における調査が全くできなかった。このため、安全な海外渡航が可能な状況下において東南アジアにおいてブルームと同期した現場観測を行う。あわせて培養株を用いたミドリヤコウチュウの遺伝子解析を行う。
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