研究課題
研究2年目(2020年度)には、バベシア ボービス(Babesia bovis)で遺伝子の発現をノックダウンする目的で、グルコサミン(GlcN)誘導性glmS riboswitchの配列を、前年度に確立したCRISPR/Cas9系を応用して、目的遺伝子の下流に挿入した原虫を作製した。また、この実験系を応用して、バベシア ボービスのスフェリカルボディに局在する新規タンパク質VEAPが原虫感染赤血球の血管内皮細胞への接着(脳性バベシア症の病態形成)に関与することを証明し、この成果を2020年度発刊の専門誌に発表した。この実験系とCRISPR/Cas9系を組み合わせて応用することで、サイトカイン発現バベシア原虫において、CRISPR/Cas9系で導入したサイトカイン遺伝子の発現を、事後随意に調節することができる。さらに、バベシア原虫のゲノムにCRISPR/Cas9系を用いて導入した遺伝子を、事後随意に欠損させる(取り除く)目的で、Dimerizable Creリコンビナーゼ(DiCre)/loxPシステムの応用を試みた。DiCre/loxPシステムは、Cre活性を一時的に制御できるように工夫した実験系で、抗生物質ラパマイシンの存在下でのみCreのloxP特異的組換え反応を誘導することができる。この実験系とCRISPR/Cas9系を組み合わせて応用することで、サイトカイン発現バベシア原虫において、CRISPR/Cas9系で導入したサイトカイン遺伝子を、事後随意に取り除くことができる。バベシア ダイバージェンス(Babesia divergens)を用いて、現在、この実験系の開発を進めている。また、CRISPR/Cas9実験系の国産バベシア原虫バベシア オバタ(Babesia ovata)への応用も、現在、併行して進めている。
すべて 2020 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
PLoS Pathogens
巻: 16 ページ: e1008917
10.1371/journal.ppat.1008917.
https://www.obihiro.ac.jp/facility/protozoa/
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