研究課題/領域番号 |
18K19265
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
角田 茂 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (80345032)
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研究分担者 |
小川 哲弘 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40323480)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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キーワード | 疾患モデル / リボヌクレアーゼ / 遺伝子欠損マウス / RNA代謝 |
研究実績の概要 |
RNase T2は一本鎖RNAを非特異的に分解するエンドリボヌクレアーゼである。原核生物から真核生物、更にはウイルスにも存在することから、生物学的に普遍的かつ根源的な役割を担うと考えられるが、哺乳動物での機能に関する報告はあまり多くない。そのような中、ヒトにおいては、RNase T2は当初がん抑制因子として同定されたが、その後、「先天性嚢胞性白質脳症」(神経変性疾患)の患者にRNASET2遺伝子の欠損が報告された。さらに最近、複数のゲノムワイド関連解析の報告から、RNASET2遺伝子座の一塩基多型が様々な疾患に関連することが示唆されている。 そこで申請者は、このうち特に遺伝子欠損に依存すると考えられる神経変性疾患の発症機構を明らかにするために、RNase T2遺伝子欠損マウスを作出した。しかし、神経変性疾患は認められず、代わりに肝脾腫をはじめとする免疫異常を自然発症することがわかった。すなわち、遺伝子欠損マウスの表現型は予想に反してヒト患者の表現型とは異なっており、単純には「外挿」できないことが明らかになった。そのため、RNase T2の自然免疫系への関わり、この異常による自然免疫系の破綻・多様な疾患誘導の全容解明を目指し、現在、①RNA代謝異常が関わる多様な疾患の発症に共通する分子機構の解析、②ヒトRNA代謝疾患研究に外挿できる疾患モデルマウス樹立、の2つを研究課題と設定して研究を進めている。 マウスの遺伝的背景による表現型の変化を確認するため、樹立時のC57BL/6NからBALB/c系統への戻し交配を行ったところ、両系統間では表現型に相違があることがわかった。解析対象に応じて、両系統を使い分けながらRNase T2の機能解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染拡大を受け、研究活動の制限を受けたため。
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今後の研究の推進方策 |
解析対象に応じて、両系統を使い分けながらRNase T2の機能解析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大による研究活動の制限を受け、研究計画よりも遅れが生じたため。 遅れてしまった研究の継続のために使用する。
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