研究課題/領域番号 |
18K19272
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
牛田 一成 中部大学, 応用生物学部, 教授 (50183017)
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研究分担者 |
土田 さやか 中部大学, 応用生物学部, 講師 (40734687)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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キーワード | スカベンジャー動物 / アフリカハゲコウ / 腸内細菌 |
研究実績の概要 |
2022年度もコロナ流行対応に加えて、これまで採材を行っていたカンパラ周辺地域およびカンパラ南西部方面におけるエボラ出血熱流行のため現地活動ができなかった。そのため、前年度までに得られていた生息地を異にするアフリカハゲコウ2群の糞便由来腸内細菌プロファイルを元に、バイオインフォ技術(PICRUSt2)を使った腸内代謝系のプロファイル検討を引き続き継続したほか、肉食獣を代表する腸内乳酸菌であるVagococcusについての検討も行った。前年度までに明らかになったように、ブタ屠殺場に生息し、本来の食性である腐肉食とほぼ同様の食性を維持する集団と、カンパラ市郊外のゴミ埋め立て地に生息し、本来の食性から大きく離れた雑食性を獲得した集団では、ピリミヂン塩基回収経路、D-ガラクトース分解経路、ビフィズス経路、ヘテロ乳酸発酵経路、メバロン酸代謝経路、ガラクトース/ラクトース分解経路が前者の集団と比べて有意に亢進していることが推測された。糖質代謝系の亢進は、炭水化物の比率が高い生ゴミを食物とすることに対する適応と考えられる他、肉食と比べてタンパク質の摂取が相対的に少ないため核酸塩基のタンパク合成への再利用系が亢進する適応も示唆された。 本来は肉食の鳥で、高タンパク高脂肪の食物に適応しているアフリカハゲコウが、Vagococcusのような肉食/魚食獣に広く観察される乳酸菌を失い、草食獣タイプの乳酸菌を獲得し高炭水化物低タンパク質の生ゴミへ適応を可能にしたものと推測された。このように腸内細菌集団の種構成シフトとそれに伴う腸管内代謝系のシフトが大きく関与していることが示唆されたが、前年度までに得られていた糞便短鎖脂肪酸濃度データを見る限り両群間に有意差が認められず、糞便細菌による発酵試験などを実施することが必要であると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍に加えて、採材地周辺でエボラ出血熱の流行があったため、現地調査と採材が実行できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
糞便細菌(混合細菌)の発酵試験を実施するほか、乳酸菌の機能解析を引き続き進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度、コロナ流行に加え、採材予定地周辺でエボラ出血熱の発生があり、採材をふくむ研究が不可能となった。2023年度は、渡航と現地における研究を実施する予定である。
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