研究課題/領域番号 |
18K19276
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
田村 勝 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, チームリーダー (50370119)
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研究分担者 |
綾部 信哉 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソース研究センター, 研究員 (10633563)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 造影X線CT / 軟骨イメージング / 遺伝子発現イメージング / マウス |
研究実績の概要 |
ヒト疾患を分子レベルで解析するには、疾患モデル動物の詳細な表現型解析が有力な手段となる。表現型は元々3次元(3D)である。非破壊的に詳細3Dデータが取得可能なX線CTイメージング法は、その解析に大きな威力を発揮する。これまでに我々はX線CTを用いて、X線では画像化が困難であったマウス胎仔等軟組織のイメージング法の開発に成功してきた。この手法は、一度データを取得すれば任意の位置、任意の角度で再構築可能であり極めて有用な解析法ある。一方で、CTイメージングには大きな期待を寄せられつつも画像化できていない領域が存在する。それが軟骨と遺伝子発現のイメージングである。 本研究課題では、この2つのイメージング法開発に挑戦している。研究開始年度である今年度は、軟骨イメージングに関しては、特異的造影剤の有機合成を進めるとともに、複数種類の自主開発造影剤のスクリーニングとその軟骨組織造影効果の検討を行った。その結果、自主開発造影剤に関して、シグナル・ノイズ比がまだ満足できるレベルには達していないものの数種類の軟骨造影効果のある新規造影剤候補を見出す事ができた。 X線による遺伝子発現イメージング法の開発に関しては、X線で検出可能と考えられるレポーターコンストラクトの構築、それを用いたトランスジェニックマウスの作製に着手した。また、レポーターに作用させる造影剤に関して、その浸透性や検出感度や得られるシグナル・ノイズ比の予備実験を行い、数種類の候補を選抜できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
軟骨X線CTイメージング:研究開始年度である本年度計画の内、軟骨特異的造影剤の有機合成に関しては合成に困難なステップが見出されたため、その回避法の開発に時間を要した為に計画に若干の遅れが生じたものの、計画全体としては自主開発造影剤、造影方法の開発が予想を上回る成果を上げることができたので、ほぼ予定通りの計画遂行ができた。 遺伝子発現X線CTイメージング:X線による遺伝子発現イメージング法の開発に関しては、レポーターコンストラクトの構築、トランスジェニックマウスの作製、レポーターに作用させる造影剤の開発等、ほぼ計画通りに開発が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
軟骨X線CTイメージング:研究1年目に引き続き有機合成系造影剤の合成を行い、その軟骨造影効果の検証を行う。また、自主開発造影剤のスクリーニングで見出した数種類の軟骨造影効果を持つ新規造影剤に関してはシグナル・ノイズ比の向上を図り、軟骨イメージング法の完成を目指す。 遺伝子発現X線CTイメージング:本年度作製したX線で検出可能と予想されるコンストラクトを用いて作製したトランスジェニックマウスのライン化を進める。また、X線で検出レポーターに関して開発開始後に候補と成り得るものが見出されたので、それについてもトランスジェニックマウスの作製を行う。これらの遺伝子改変マウスと今年度見出した造影剤候補を用いてEx vivo遺伝子発現X線CTイメージング法の完成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
開発研究初年度で開発・合成予定であった新規有機合成系造影剤の合成経路に非常に難しいステップが見出され、その解決策の検討を行った。そのために新規有機合成系造影剤合成費を次年度に繰り越すことととなった。繰り越しを行った予算に関しては、予定通り有機合成系造影剤合成費として使用する。
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