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2018 年度 実施状況報告書

エピジェネティック突然変異を介した適応的突然変異誘発機構の探索

研究課題

研究課題/領域番号 18K19279
研究機関北海道大学

研究代表者

村上 洋太  北海道大学, 理学研究院, 教授 (20260622)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2020-03-31
キーワードヘテロクロマチン / 突然変異 / 分裂酵母 / エピジェネティクス
研究実績の概要

真核細胞は遺伝子発現を抑制するヘテロクロマチンと、遺伝子発現が可能なユークロマチンの2種類のクロマチン構造をもつ。クロマチン研究のモデル生物である分裂酵母においてヘテロクロマチンがゲノム上に偶発的に生成し表現型に影響を与えるという私自身の知見(Sorida et al. Plos Genet 2019)と、ヘテロクロマチン内で突然変異の頻度が上昇する事を示唆する最近の報告(Schuster-Bockler, 2012 Nature)から「偶発的なヘテロクロマチン形成による遺伝子抑制により環境適応後、EHC内での突然変異誘発により、その表現型変化が遺伝的に固定化される」という仮説をたてた。この仮説はエピジェネティックな変異を通して、方向性をもった遺伝的変化が引き起こされるという、適応戦略・進化戦略を考える上で新規・かつ重要な概念となる。
仮説検証ため(1) 偶発的ヘテロクロマチン形成による初期環境適応の検証 (2) ヘテロクロマチン内での突然変異発生率上昇の検証 (3) 偶発的ヘテロクロマチンにより獲得された形質の固定化の検証 (4) 環境変化による偶発的ヘテロクロマチン発生効率変化の確認、の4つの解析を試みる計画である。
本年度はこの仮説の一番基本となる(2)のヘテロクロマチン内での突然変異発生率上昇の検証を試みた。そのために既に報告されている(Ragnuathan et al. 2015, Science)薬剤テトラサイクリンにより任意のゲノム領域で人為的にヘテロクロマチンを生成・消去できる系を用いてura4遺伝子上にヘテロクロマチンを形成・消去出来る系を構築を試みた。ところが、報告から予想するほど強いヘテロクロマチンが形成されず系の改良を試みた。ヘテロクロマチン形成因子誘導量やその因子のDNA結合配列のコピー数を増やすことにより十分な抑制能をもつ系の構築に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の仮説の一番根本にある仮定ははヘテロクロマチン化されたDNAでの突然変異発生率の上昇である。まず、その点を検証するため、論文報告があった人為的にヘテロクロマチンを生成・消去できる系を導入した。しかし、その系のヘテロクロマチンは十分な抑制能を持たず、標的にに使うura4遺伝子の発現を完全に抑制しないために、ヘテロクロマチンの有無による変異発生率の比較には不適当であった。そのためその系の改良を行うための、種々のこころみに多くの時間を費やし、当初の計画より遅れることとなった。

今後の研究の推進方策

遅れの原因となた人為的ヘテロクロマチン形成系の改良に成功したので、これを用いてヘテロクロマチン形成による突然変異発生率の変化を解析する。またこれと平行して実績の概要で述べた実験計画の(1) 偶発的ヘテロクロマチン形成による初期環境適応の検証を進める。これらの結果を確認した上でさらに実験計画(3), (4)と実験を展開する予定である。

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公開日: 2019-12-27  

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