研究課題
細胞の力覚応答は組織形成や恒常性維持に重要な役割を担っている。RhoAによるアクチン再構築は力覚応答に重要であるが、力学的刺激によるRhoAの活性化機構は不明である。私たちは、力覚応答に関わるRho-GEFとしてSoloを同定し、張力依存的なRhoAの活性化とストレスファイバーの形成に関与することを見出した。本研究では、Soloの力覚刺激依存的な活性化機構と細胞機能を解明することを目的として、以下の結果を得た。1)Soloがb4-インテグリンと結合し、ヘミデスモソーム形成と腺房形成に関わることを解明した。2)Soloとケラチン8/18が上皮細胞の管腔形成における長軸方向への伸長機能を持つことを解明した。3)ケラチン線維との結合に関わるSoloのN末端領域内のアミノ酸残基を同定し、変異体の解析からケラチンとの結合がSoloの力覚応答機能に重要であることを明らかにした。4)Soloの分子伸長によってGEF活性が変化するかを調べた。N末端とC末端にタグをつけたSoloをシリコーン膜上に固相化し、膜の伸展後のSoloのGEF活性をRhoAへの32P-GTPの取り込みにより測定した。しかし、Soloの固相化の効率が悪く、またSoloを大量に発現、精製することが困難であり、伸展による活性化は検出できなかった。また、Soloの構造変化を検出するFRETプローブを作成したが、力学的刺激依存的な構造変化を検出できるプローブは得られなかった。5)Soloの活性化や局在の機構を解明するため、BioID法によりSolo結合タンパク質を探索し、Carmil-3やTalin, Filaminを同定した。これらの機能を解析中である。6)Soloと類似した構造を持つGEFであるPLEKHG4Bの機能解析を行い、Rac1, Cdc42の活性化を介して、細胞間接着の形成過程に関与することを明らかにした。
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