研究課題
電位依存性チャネルの電位センサーの構造と動作機構に基づき、新規の光駆動イオンチャネルおよび光駆動膜機能蛋白質を創製することを試みる。高速で光異性化を起こすアゾベンゼンを利用して、電位センサーを動かし、光によるイオンチャネル活性の制御や電位センサーに付加した酵素などの機能分子の制御を行う。分子構造や動作機構に立脚して戦略的に光駆動チャネル・光駆動性膜蛋白を創製するプラットフォームを構築することを目的として本研究を行う。本年度は、扱いやすい最小ユニットで機能するHvチャネルおよびVSPの電位センサーを対象に実験を進めた。構造解析情報を基に、電位センサーがResting構造からActive構造に変化する際に変わる残基間距離を計算した。光異性化距離に相当する残基ペアに、アゾベンゼン誘導体を架橋するためのCys変異を導入した。S3-S4間距離、S2-S4間距離、ドメイン間距離をアゾベンゼンの光異性化によりコントロールすることを試みた。網羅的に多くの変異体コンストラクトを作成し、変異体チャネルをXenopus卵母細胞に発現させ、アゾベンゼン誘導体をスルフヒドリル反応で付加し、光異性化波長を照射し、電気生理学的に測定した。本年度は、光で操作することができる電位センサーを得ることが出来なかった。しかしながら、本研究費で実験補助員(1名)を雇用し、Cys導入変異体作成から電流解析まで一連の解析システムを構築することに成功した。次年度以降に、解析システムが有効に働くことが期待できる。
2: おおむね順調に進展している
本研究費で実験補助員(1名)を雇用し、変異体作成から電流解析まで一連の解析システムを構築することに成功し、数多くのCys変異体を作成し、解析検討した。
本年度は、扱いやすい最小ユニットで機能するHvチャネルおよびVSPの電位センサーを対象に実験を進め、変異体作成から電流解析まで一連の解析システムを構築することに成功した。しかしながら、光で操作できる有効な変異体を得ることが出来なかった。次年度は、構造-機能解析・分子計算まで含めて、これまで最も研究の進んでいる電位センサーを有する電位依存性チャネルを対象として研究を進める。数多くのCys導入変異体を作成し、スクリーニングを行う。困難を解決するために、適宜、分子計算解析も導入し、プロジェクトの成功に繋げる。
発注機器の納期の遅れ、および計算科学を取り入れて研究を遂行する必要が生じたため学内計算機器設備による分子構造計算を取り入れて研究を行ったため、物品費の使用に遅れが生じた。実験補助員の雇用が遅れたため、人件費の使用に遅れが生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせた、直接経費(4,274,155円)の使途は以下の通り。物品費:2,000,000円、旅費:50,000円、人件費:2,200,000円、その他:24,155円。
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
生物物理
巻: 58 ページ: 152-154
https://doi.org/10.2142/biophys.58.152
http://www.nips.ac.jp/thermalbio/report/report2018_01.html