研究課題/領域番号 |
18K19300
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
守屋 央朗 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (60500808)
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研究分担者 |
紀藤 圭治 明治大学, 農学部, 専任准教授 (40345632)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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キーワード | 酵母 / 過剰発現 / 処理能力 |
研究実績の概要 |
背景と目的 タンパク質はその機能発現の過程で、合成・折りたたみ・輸送・分解など様々なプロセスで処理を受ける。これらのプロセスは、そこに割かれている資源の量に依存して、異なった処理能力を持っていると考えられる。しかし、これまで細胞内プロセスの処理能力が調べられたことはない。本研究では、申請者らが開発してきた、タンパク質の限界発現量(増殖を阻害するぎりぎりの発現量)が測れる遺伝子つなひき法とタンパク質定量により、出芽酵母の特定のプロセスで処理されるタンパク質のうち最も高い限界発現量を持つものを同定し、それを指標タンパク質とすることで、細胞内のプロセス―特にタンパク質合成と輸送プロセスの処理能力を明らかにする。本研究から、細胞内プロセスの処理能力という細胞の新しい側面が見えてくるとともに、処理能力への過負荷という、タンパク質の過剰発現による増殖阻害の全く新しいメカニズムが提唱される。さらに本研究の成果は、細胞工学に革新をもたらすとともに、新しい概念に基づいた癌治療の標的の発見につながる可能性がある。
研究実績 本研究では特に解糖系タンパク質酵素群を指標タンパク質として合成、輸送の処理能力の評価を行った。その結果、合成の処理能力は全タンパク質の15%、輸送の処理能力は全タンパク質の1%程度と見積もることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的である、指標タンパク質を使った細胞の処理能力の評価が順調に行えているため。
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今後の研究の推進方策 |
解糖系タンパク質以外のタンパク質についても良い指標タンパク質を探し、さらに処理能力の検討と能力を決める制限因子の同定を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度の研究に従事する予定だった研究補助員が遠方に異動し、研究を計画通り進めることが困難となった。後任の研究補助員の採用に時間を要したが、2020年度4月から新たに研究補助員となる人材が見つかったことから、1年間の研究機関の延長を申請した。
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