研究課題/領域番号 |
18K19302
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
堀 弘幸 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (20256960)
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研究分担者 |
横川 隆志 岐阜大学, 工学部, 教授 (90242304)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 核酸 / RNA / 質量分析 |
研究実績の概要 |
本申請は、「長鎖RNAをDNAザイムで切断し、得られた断片を固相化DNAプローブ法で精製し、質量分析によって解析する技術を開発しようとするもの」です。採択の通知が年度の途中でしたので、2018年9月から、研究室内のメンバーを再配置して実験に着手しました。2018年度は、主に16S リボソーマルRNAを用いて、DNAザイムで断片化し、固相化DNAプローブ法で精製する手法の最適化を図りました。その結果、(1)初発材料は、30S リボソームサブユニットよりもリボソーム画分としたほうが効率的であること、(2) 8-17 DNAザイムがマグネシウムイオン存在下で作用するので扱いやすいこと、(3) 2~20 mM マグネシウムイオン存在下で作用させた場合、RNA凝集体を生じにくく切断効率がよいこと、(4) 反応時間は30分とし、サーマルサイクラーでアニーリングと切断を繰り返したほうが回収量がよいこと、(5) サーマルサイクラーのサイクル数は15回程度でプラトーに達することなどを見出しました。次いで、標的RNAをリボソーマルRNAからtmRNAに変え、検討を行ったところ、(A) 400 nt程度のRNAでも固相化DNAプローブ法で精製できること、(B) RNA混合物中のモル数が、全体の1/1000程度のRNAでも精製できることを確認しました。これらのうち、リボソーマルRNAの分析結果については、国内学会で発表しましたが、そのデータの多くは未発表となっています。また、分担者・横川とは、分子生物学会(横浜)および無細胞研究会(松山)で、測定データをもとに研究の方向性について討論しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究に着手したのが、年度の途中であったことを考慮すれば、ほぼ予想どおりの進行状況であると言えます。リボソーマルRNAやtmRNAに関しては、あまり凝った条件検討をする必要もなく、DNAザイムで切断し、目的RNAを精製することができました。また、これらのRNA中に未報告の修飾があることも見出しました。
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今後の研究の推進方策 |
真正細菌由来のリボソーマルRNAとtmRNAに関しては、新規RNA修飾を見出すことができています。現在、どのような修飾酵素遺伝子が作用しているのかを調べていますので、それらのうち、幾つかについては2019年度中に報告できると思っています。一方、ヒト長鎖RNAの断片化については、2019年秋以降に着手したいと考えています。
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次年度使用額が生じた理由 |
採択通知が年度途中にあり、実質的な研究のスタートが2018年夏であったこと、および2019年4月の最初から直ちに消耗品の購入を行い、途切れなく研究を遂行したかったので、97352円を翌年度分と合わせて使用することとしました。ほぼ申請書に記載した通りの研究の進捗状況となっており、これは大きな研究計画の変更に伴う措置ではありません。
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