研究課題
本研究は、修飾ヌクレオシドレベルで配列決定が難しい長鎖non-coding RNAをDNAzyme処理により断片化し、そのRNA断片を固相化DNAプローブ法を用いて精製すれば、質量分析により、直接的に配列決定を行なえるのではないかというアイデアの可否を検証しようとしたものです。まず、固相化DNAプローブ法で、どのくらいの長さのRNAがどれぐらいあれば、精製できるか調べました。その結果、短いnon-coding RNAのtRNAと全く同じ方法で、transfer-messenger RNA (tmRNA, 349 nt)や16S rRNA (1544 nt)が精製できることが確認できました。16S rRNAが精製できたことから、相当の長さのRNAも固相化DNAプローブ法を応用できることが判りました。また、tmRNAが精製できたことから、tRNAよりもはるかに細胞内の存在量が少ないRNAにも応用可能であることも判りました。ちなみに、我々は高度好熱菌のtmRNAを精製しましたが、これは好熱菌から天然のtmRNAを精製した世界で初の事例となりました。次いで、16S rRNAを実験材料に、DNAzyme切断の条件を検討しました。その結果、8-17 DNAzymeが効率よくRNAを切断できること、そのマグネシウムイオンの要求濃度は2~20 mMであること、サーマルサイクラーを用いて変性、アニーリング、切断のサイクルを繰り返すことによって収量を上昇させることができることなどを見出しました。最後に、こうして得たRNA断片を質量分析により、修飾ヌクレオシドレベルで分析できることを確認しました。今後、この手法と既存の方法を組み合わせることにより、長鎖non-coding RNAの分析の効率化を図ることが期待できます。
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Journal of Biochemistry
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