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2018 年度 実施状況報告書

小胞体膜タンパク質の品質管理に関わる新規因子の遺伝学的探索と生化学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K19306
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

中務 邦雄  名古屋市立大学, 大学院システム自然科学研究科, 准教授 (90547522)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2021-03-31
キーワード小胞体 / 膜タンパク質 / プロテアソーム / ユビキチン / 分解
研究実績の概要

小胞体に構造異常タンパク質が蓄積すると、UPR(Unfolded Protein Response)を介して分子シャペロンの発現が誘導され、異常タンパク質の修復が試みられる。それでも修復できない異常タンパク質は細胞質に送り返され、プロテアソームによって分解される。この分解系はERAD(ER-associated degradation)と呼ばれている。
小胞体内腔の異常タンパク質は小胞体膜の「孔(膜透過チャネル)」を通じて細胞質へ送り返された後、プロテアソームによって分解される。孔の実体は長い間不明であったが、ごく最近有力な候補が同定されたこともあって、約20年の議論に終止符が打たれようとしている。しかし、膜タンパク質の具体的な分解経路は分かっておらず、大論争が起こっている。この問題は小胞体の膜タンパク質だけでなく、プロテアソームによって分解されるすべてのオルガネラの膜タンパク質に共通する問いである。
本研究では、複数回膜貫通タンパク質のERADに関わる新規因子の遺伝学的探索を行ってきた。出芽酵母でモデル基質を発現させ、細胞質画分と膜画分に分離した後、細胞質画分に分画されユビキチン化基質の有無を指標に、膜タンパク質の分解に関わる新規因子の探索を試みた。このプロジェクトは海外グループと競争関係にある。分解のメカニズムに関する生化学的な解析については、海外グループとの共同研究が進んだ。小胞体の膜を貫通するモデルタンパク質について、膜中における膜貫通ドメインの安定性と分解効率の間に相関がみられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ユビキチン化基質の分画アッセイを様々な酵母変異株で行うことで、複数回膜貫通タンパク質のERADに必要な新規因子の探索を試みた。当初計画通り、平成30年度は主に小胞体局在を示すタンパク質を中心にデータを整理した。分解のメカニズムに関する生化学的な解析については、海外グループとの共同研究が進んだ。既に論文を投稿して、現在修正作業を行っている。

今後の研究の推進方策

複数回膜貫通タンパク質のERADに関わる新規因子を確定させることが重要である。これまでは基質の膜からの引き抜きを直接促進する装置として、小胞体に局在する膜タンパク質を重点的に考えてきた。今後は、小胞体膜の生合成に関わる因子、細胞質の因子など、幅広いタンパク質を解析の対象とする予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していたいくつかの消耗品を学内の他予算で賄うことができたので、次年度使用額が生じた。これらを分子生物学、生化学試薬に充当することで、酵母を使った新規因子の探索の効率化を図る。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Hepatic Sdf2l1 controls feeding-induced ER stress and regulates metabolism2019

    • 著者名/発表者名
      Sasako T., Ohsugi M., Kubota N., Itoh S., Okazaki Y, Terai A., Kubota T., Yamashita S., Nakatsukasa K., Kamura T., Iwayama K., Tokuyama K., Kiyonari H., Furuta Y., Shibahara J., Fukayama M., Enooku K., Okushin K., Tsutsumi T., Tateishi R., Tobe K., Asahara H., Koike K., *Kadowaki T. & *Ueki K.
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 10 ページ: 1-16

    • DOI

      10.1038/s41467-019-08591-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The HECT-type ubiquitin ligase Tom1 contributes to the turnover of Spo12, a component of the FEAR network, in G2/M phase.2018

    • 著者名/発表者名
      *Nakatsukasa K., Sone M., Alemayehu D.H., Okumura F., and *Kamura T.
    • 雑誌名

      FEBS Letters

      巻: 592 ページ: 1716-1724

    • DOI

      10.1002/1873-3468.13066

    • 査読あり
  • [学会発表] 可溶性の代謝酵素の分解におけるAAA ATPase Cdc48/p97の役割2018

    • 著者名/発表者名
      川原﨑 智之2、森山 昭彦2、〇中務 邦雄1
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 2つのAAA-ATPアーゼによるミトコンドリア外膜に誤局在したテイルアンカータンパク質の分解機構2018

    • 著者名/発表者名
      〇松本 俊介1、角田 千香1、中務 邦雄2、田村 康3、江崎 雅俊4、遠藤 斗志也1
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 出芽酵母E3リガーゼ複合体SCFMet30によるAry34の分解制御2018

    • 著者名/発表者名
      〇山口 竜1、小原 圭介1、奥村 文彦1、嘉村 巧1、中務 邦雄2
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] ユビキチンリガーゼSPSB4はEphB2を介した細胞間反発運動を抑制する2018

    • 著者名/発表者名
      〇奥村 文彦1、奥村(城尾) 晶子1、小原 圭介1、錦見 昭彦3、福井 宣規2、中務 邦雄4、嘉村 巧1
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 小胞体および小胞体から形成される膜系を舞台とした膜タンパク質の分解経路2018

    • 著者名/発表者名
      〇中務 邦雄
    • 学会等名
      第91回日本生化学会大会
  • [学会発表] Regulation of metabolic pathways by the ubiquitin-proteasome system2018

    • 著者名/発表者名
      Kunio Nakatsukasa
    • 学会等名
      International Symposium - Proteins: From the Cradle to the Grave
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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