研究課題/領域番号 |
18K19311
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
恒川 雄二 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 研究員 (80733352)
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研究分担者 |
宮道 和成 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, チームリーダー (30612577)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | LeaklessCre |
研究実績の概要 |
本研究の目的は研究代表者の開発した体細胞に対するゲノム編集技術を改良し、食肉目のフェレットを非典型的ほ乳類モデルとして、発生期および成獣個体の組織において任意の遺伝子の発現制御下にCreを導入する技術を確立することである。以下3つの実験計画を立てて研究を進めて来たので、進捗状況を説明する。 1. レポーターカセットをゲノムに挿入するトランスポゾンシステムの条件検討:マウスにおいてPiggyBac, TolII、Sleeping beautyの三種類のトランスポゾンを検討した結果PiggyBacが一番良くゲノムに挿入されたので、今後はPiggyBacを使って実験を進めて行く。 2. LsCreノックインによるリニエージトレーシングと細胞特異的機能獲得実験技術の開発:フェレットにおいてPax6遺伝子座にノックインが効率よくおこなわれ、リニエージとレーシングが成功している。今後は違う遺伝子についても検討する。 3. Split LsCreノックインによるコンディショナルノックアウト法の開発:遺伝子が両染色体でノックアウトされた細胞をラベルするため、マウスPax6遺伝子の1st intronにCreをN末端側(Cre-N)とC末端側(Cre-C)に分けてそれぞれの染色体にノックインした。それぞれの染色体にCre-NとCre-Cがノックインされた場合のみ、細胞内で発現したCre-NとCre-Cが結合し、活性のあるCreが発現し、マーカー遺伝子が発現したが、Pax6タンパク質で染色したところ発現が消えていない細胞が観察され、ノックアウトがうまく行って異な事が解った。これはintronにノックインされたドナーがgenetrapしきれなかったエスケーパーが発現していると考えられた。今後は更に強いsplicing donorを使用する事を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記研究実績の概要で述べたように、3つの研究計画のうち2つはおおむね計画通り進んでおり順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
現在の研究は主に子宮内電気穿孔法を用いて発生期マウスおよびフェレットを用いておこなわれている。 一方子宮内電気穿孔法は適用出来る税物種に限りがあるため、AAVを始めとするウイルスによるLsCreのノックイン技術開発が今後不可欠であると思われる。現在のところAAV特異的なリークが観察され、その理由および解決方法が明らかになりつつある段階である。今年一年をかけて上記の課題に取り組む事により、非典型的ほ乳類モデルを始めとしたあらゆる動物もデルルの発生期および成獣個体の組織において任意の遺伝子の発現制御下にCreを導入する技術を確立することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は主に比較的マウスをを用いた研究を行ったため、予算申請時の予想よりも予算がかからなかった。2年目はフェレットをモデルにAAVを用いてLsCreのノックイン実験をおこなうため、フェレットの購入費およびAAVの購入費がよりかかる事が予想される。
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