本研究の目的は研究代表者の開発した体細胞に対するゲノム編集技術を改良し、食肉目のフェレットを非典型的ほ乳類モデルとして、発生期および成獣個体の組 織において任意の遺伝子の発現制御下にCreを導入する技術を確立することである。これまでに以下3つの実験計画を立てて研究を進めて来た。 1. レポーターカセットをゲノムに挿入するトランスポゾンシステムの条件検討:昨年度までの研究によりPiggyBacシステムが最も良い効率を示しているので、今年度の研究ではこれを使って実験を進めた。 2. LsCreノックインによるリニエージトレーシングと細胞特異的機能獲得実験技術の開発:昨年度までの研究によりフェレットにおいてPax6遺伝子座にノックインが効率よくおこなわ れ、リニエージとレーシングが成功している。今年度はAscl1遺伝子を発現する細胞のリニエージとレーシングを検討した。 3. Split LsCreノックインによるコンディショナルノックアウト法の開発:昨年度までの研究により遺伝子が両染色体でノックアウトされた細胞をラベルするため、マウスPax6遺伝子の 1st intronにCreをN末端側(Cre-N)とC末端側(Cre-C)に分けてそれぞれの染色体にノックインすることを試みたが失敗していた。現在はは更に強いsplicing donorを使用する事を検討している。 またすでに発生が終わっている個体に対してのCreノックインのためLsCreをAAVシステムにのせ、感染させることにより de novoノックインを試みた。AAVにおいては様々な理由によりプラスミドではおきなかった新たなリークが確認され、今後の改良が必要であることが明らかになった。
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