本研究計画は、細胞内と細胞外で分子モーターによる輸送の違いを定量することによって、細胞内と細胞外で運動速度が数倍も違うことや、デタラメな動きに見える小胞輸送がモーターの綱引きに依るのかどうかなどの謎を解明することを目的としている。昨年度から当初の計画を一部変更し、エンドサイトーシスに依らず、膜融合を用いて直接複合体を導入することに成功したが、これらの運動を細胞内で定量することが困難であった。そのため、細胞内抽出液と、粘性の高い人工的な溶液を用いた実験に切り替えた結果、キネシンの運動速度に関して、従来の希薄なバッファー中での運動に比べて速度が速くなるという興味深い結果が得られた。現在さらに再現性や条件のスクリーニングなどの詰めの実験を行い、どのような要因でこの現象が起きているのかの解明を急いでいる。
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