研究課題
先行研究により、プラナリアの無性化に働く共生細菌が存在し、その働きによる有性化抑制の仕組みが存在していることが予想できた。これまで、核酸ペプチド(PNA)を用いた細菌のノックダウン法により、無性化共生細菌を同定に成功した。無性化共生細菌が合成していると予想される無性化因子を単離・同定すること成し遂げるために、無性化共生細菌の培養系確立を目指した。グラム陰性菌とグラム陽性菌両方に強く効き目のあるテトラサイクリンおよびフラジオマイシン(ネオマイシン)、主にグラム陽性菌に効果のあるアンピシリンの3種の抗生物質を無性個体に投与し、16S rRNA配列の比較による細菌叢解析を行った。その結果、同定した無性化共生細菌はテトラサイクリンおよびフラジオマイシン処理で無性個体から除去されたが、アンピシリン処理では影響がほとんどないことがわかった。無性個体をホモジナイザーで懸濁した組織液に存在する無性化共生細菌だけが生き残れるようにアンピシリンを添加した寒天培地で培養するなど検討を行った。昨年度は、形成されたコロニーに対して、無性化共生細菌特異的プライマーを用いてPCR検査をしたところ、いくつかのコロニーに陽性の結果が得られており、その後、シーケンスの結果、目的の無性化共生細菌であると確かめられたので、今年度は液体培養の検討を行った。市販の栄養培地や無性個体の抽出物などを添加することで培養方法をさまざま検討したが、うまくいかなかった。そこで、寒天培地での陽性コロニーを別の検出方法で再検証したところ、目的の細菌ではないと判明した。非常に残念ではあるが、無性化共生細菌は現在の条件では培養は困難であるという結論に至った。
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Zoological Letters
巻: 7 ページ: 4
10.1186/s40851-021-00173-z
Advances in Invertebrate (Neuro) Endocrinology, Volume 1: Phyla Other Than Arthropoda
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