冬眠は、全身性の代謝抑制により低温・乾燥・飢餓といった極限環境下での長期生存を可能とする生存戦略である。冬眠する小型哺乳類であるシリアンハムスターは、冬眠期のあいだ、体温が10度以下の深冬眠と、そこから復温して体温37度となった中途覚醒を繰り返す。数ヶ月にわたる冬眠期間のあいだ、深冬眠と中途覚醒は何度も繰り返し生じるが、その制御機構は未だ殆ど不明である。本研究はこの点に迫るため、深冬眠と中途覚醒との間で、組織での遺伝子発現量が大きく異なる遺伝子群DTIG (Deep-torpor-induced genes)を同定した。さらにそのうちの1遺伝子について遺伝子改変動物の作出に成功した。
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