研究課題/領域番号 |
18K19327
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
平良 眞規 中央大学, 理工学部, 共同研究員 (60150083)
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研究分担者 |
近藤 真理子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (70372414)
原本 悦和 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30540869)
荻野 肇 広島大学, 両生類研究センター, 教授 (10273856)
浅川 修一 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (30231872)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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キーワード | 異質倍数体 / アフリカツメガエル / キタアフリカツメガエル / サブゲノム / 非対称進化 |
研究実績の概要 |
異質倍数化を実験的に起こさせることで、自然界で起こった異質倍数化がどのようなものであったか、またそれにより遺伝子レベルでどのような変化が生じ、それにより親種由来のそれぞれのサブゲノムにどのような変化が起こるかを解析するのが本研究の目的である。種間雑種後の全ゲノム倍化の過程として幾つかの可能性が考えられているが、その1つは種間雑種の成体で、生殖細胞での減数分裂が正常に行われず、オスでは非減数精子(2n精子)、メスでは非減数卵子(2n卵子)が形成され、それらが受精することで異質倍数体となることである。これまでメスでは非減数卵子については幾つか報告がなされているが、オス非減数精子の報告はこれまでにない。2020年度はこの点を中心に検討した。既に作成されているlaevis-borealisの雑種個体から精巣を摘出して切片観察で精子形成について検討した。その結果、性腺刺激ホルモン処理の有無に関わらず精子数は対照のX. laevisよりも非常に少なくなっていた。このことは雑種個体の精巣では減数分裂のどこかの過程で異常が起きることが考えられた。そこでX. laevisとX. borealisのオスの精巣の詳細な切片観察を行い、精原細胞から精子形成までの細胞の形態変化を観察した。第一次精母細胞はDNA複製を行ってから第一減数分裂期に入るがその過程は、細糸期、接合期、太糸期、複糸期、移動期、に分けられる。それらを経て第二次精母細胞となり、第二減数分裂を経て精子細胞(精細胞)となり、さらに精子成熟過程へと移行する。それら各段階での写真撮影を全て行った。それと並行して精子形成能の大小を表す指標として精細管の断面積を測定するため、精細管を包む結合組織を染めるアニリン青による膠原(コラーゲン)線維染色を行った。現在これらの結果をまとめているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ禍の中、緊急事態宣言等で、研究推進に必要な技術員の通勤時の安全性と勤務時の時間的制約のため実験に遅れが生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
1)X. laevisとX. borealisの精子形成過程の詳細なステージごとの形態変化を明らかにすることで、それと照らし合わせて、laevis-borealisの雑種個体の精巣ではどのステージで減数分裂異常となっているかを明らかにする。一方、雑種個体でも少なからずの精子が形成されていることから、それらは非減数精子の可能性がある。その点を明らかにするためDNAをDAPIなどで蛍光染色して共焦点顕微鏡観察により定量化を試みる。 2)交雑した卵を低温処理により第一卵割を阻害することで全ゲノム重複を行い異質倍数体の作成を数年前から行っているが、技術的難しさのため、未だ効率良い作成方法が見いだされていない。今後も引続き検討を重ねる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響による2回の緊急事態宣言(2020年4/7~5/31と2021年1/8~ 2/21)、ならびに大学によるその後の自粛期間(2020年5/31~6/17)と研究時間の縮小要請により、研究補助業務として雇用している人の業務時間、ならびに業務委託の研究時間が大幅に減少し、それに伴い研究の進展も大幅に遅れ、年度内に支出完了することが困難となったため。 人件費に50万円、消耗品に35万円、その他に54,211円、使用する予定。
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