<ブラシノステロイド(BR)の生殖能獲得に対する促進効果の解析> トレニア花粉管でもシロイヌナズナ同様に、ブラシノステロイドを加えた培地で発芽した花粉管は、発芽後に蛇行する傾向が見られた。ブラシノステロイドが多くの植物で、花粉管の反応性に関与している可能性が示唆される。胚嚢への明確な誘引は見られていないが、胚珠に由来して花粉管の反応性を向上する生理活性糖AMORも加えた条件で、今後も解析を進めていく。シロイヌナズナの様々な変異体・組み換え植物を用いた解析から、ブラシノステロイドは、花粉管、花柱・柱頭、胚珠、それぞれに作用し、遺伝子発現プロファイルを変化させて花粉管や雌組織を活性化することが示された。胚珠では誘引物質の発現も上昇する。また、ROSの発生を高めることで、細胞活性を変化せていることも明らかとなった。花柱でのブラシノステロイドシグナリング下流分子として、フラボノールの重要性が明らかとなり、これはROSのスカベンジャーとして機能することが示唆された。 <花粉への作用メカニズムの解析> BRI1に加え、ホモログであるBRL2、BRL3の全ての遺伝子に異常をもつ3重変異体の花粉管においても、依然としてブラシノステロイドににより花粉管は反応性が向上した。このことは、花粉管で働く未知のブラシノステロイド受容体が存在することを示している。 <新規受容体探索への挑戦> ブラシノステロイドのアゴニストや誘導体を用いて受容体探索を進めると同時に、花粉管で発現する候補遺伝子や、ゼニゴケの系など使いながら、探索を進めた。花粉管の反応性だけで評価するのではなく、トランスクリプトーム解析も併用して分子の解析を進める方法が優れていることが明らかとなってきた。今後も探索を継続する。以上の結果をまとめ、論文を執筆中である。また、ブラシノステロイドを用いた花粉管培養による共著論文を発表し始めた。
|