研究課題
機能性ポリアミドは狙った特定塩基配列に直接結合する人工化学物質である。その標的配列は任意にデザインでき、目的遺伝子の発現抑制や、さらには蛍光物質や遺伝子発現活性化因子との複合体を合成することで、特定配列の可視化や目的遺伝子の過剰発現にも応用できる。この技術はこれまで再生医療やガン治療など主に医療分野で応用されてきたが、本研究ではこれを基礎科学の分野、具体的には単細胞生物における生殖プログラムのハッキングへの応用に挑みた。単細胞緑藻クラミドモナスは雌雄(mating type plus/minus)の性をもつ。クラミドモナスでは雌雄の配偶子が融合して接合子を形成するとともに数百の遺伝子群が活性化され、それらが胞子形成、細胞核融合、葉緑体母性遺伝、ミトコンドリア父性遺伝、鞭毛の縮退、細胞壁合成など多岐にわたるイベントを整然と進行させる。これまでに接合子特異的遺伝子群に共有されるcis-element (Zygote response factor: ZYRE)がみえてきたが、生殖プログラムの全体構造やそこにおけるZYREの実際の役割は謎のままである。そこでZYRE特異的な機能性ポリアミドをデザインし、接合子形成前後の様々な段階で一過的に投与して、その効果について表現型観察およびRNAseq解析をおこなうことで、生殖プログラムの制御においてZYREが果たす役割、生殖プログラム全体構造の解明をめざした。研究遂行の上で大きな障壁となったのは、細胞透過性の問題であった。通常のポリアミドは全くクラミドモナスの接合子を透過せず、mCherryを付加し、さらにアルギニンを付加することでようやく部分的に細胞内に浸透することが確認された。現在RNAseqの結果について精査し、論文投稿の準備中である。
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