研究課題
本研究では、細胞分裂とともに自然発生する突然変異の情報を利用することで、胚発生初期の細胞系譜を解析する新たな方法論の開発に取り組む。2019年度は、前年度までの解析(マウス3匹分)に加えて、マウス2匹分の解析を実施した。私たちが構築した方法論を利用すれば安定的に細胞系譜の解析が実施できることが確認された。また、マウスの初期発生期に発生する突然変異の特徴を明らかにすることができた。これまでの解析系では、変異検出の取り逃しがどの程度あるか、分かってなかったが、新しく実施した解析により、それらを定量的に捉えることに成功した。本知見をもとに、解析条件を見直すことで、偽陰性がより少ない解析系を構築した。本実験で解析してきたマウス個体の解析において、シーケンシングのカバレッジを増やすしことで、より詳細な細胞系譜の再構築が可能になるか、検討した。シーケンシングの反応条件、データ解析の条件、理論モデルのアルゴリズムの変更等、多岐にわたる条件検討の末、最適な解析系を構築することに成功した。これにより、細胞系譜の解析技術は大きく向上し、26を超える細胞系譜の解析も可能になった(従来までの解析では10程度の細胞系譜の解析が可能だった)。このように高解像度な細胞系譜の解析が可能になれば、より幅広い用途で、解析に利用していくことが可能になる。現在は、これらの方法論の確認作業に取り組んでおり、成果を論文発表していくために必要なデータの整理をしている状況にある。
1: 当初の計画以上に進展している
シーケンシングのカバレッジを増やした解析で、当初の計画以上によい結果が得られ、目標を大幅に超える高品質な細胞系譜の解析法を構築することに成功したため。
当初の計画以上によい実験結果が得られたため、それらの結果を検証することが必須である。2020年度には、そのためのに解析を実施し、研究成果をまとめていく予定である。
当初の計画で予定していた次世代シーケンサーを用いた解析の一部は、新学術領域研究「先進ゲノム支援」のサポートを受けることで、より発展的な解析を実施することができた。その分の費用は、本解析系の確認実験を実施するために利用していく予定である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Scientific Reports
巻: 10 ページ: 37
10.1038/s41598-019-56881-2