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不妊や先天性の染色体異常など、生殖医療および生殖補助医療の重要性が高く叫ばれる昨今、基礎医学・基礎研究としての卵母細胞の細胞生物学からスタートして、その成果を不妊治療の現場に活かすアプローチの研究が必要となってくる。
そこで本研究は、基礎生物学の観点から未知不妊の原因を探ることを目指している。具体的には、卵子が何故経年劣化と呼ばれるような現象を引き起こすのかに注目し、その原因究明さらには生殖医療への貢献を目指すものである。これまで、研究実施計画に基づき、申請し認可されたモデル生物の実験を可能にするためにセットアップをおこない、実験動物の系統維持を安定化させることに成功し、今日に至る。同時に、高齢の実験動物（野生型および遺伝子組換え生物）についても育成を続けており、採卵作業の手技習得もなされた。さらに、ヒトの臨床現場で見られるものと同様といえる卵子の老化現象が実験動物でも見られることを確認して、信頼度の高いデータを得るためにn数を増やして確認している。ここでみられる経年劣化とは、具体的に紡錘体の位置の異常をさす。すなわち、卵母細胞が放出した第一極体に対する第二分裂紡錘体の相対的な位置の異常がみられる現象のことをさす。紡錘体の位置が異常である可能性と、第一極体の位置が異常である可能性とが考えられるが、第一極体自体は卵母細胞外にあり、それが利用されないものであるため、卵母細胞内に存在する第二分裂紡錘体の位置の異常こそが劣化の指標となるとして、臨床への応用の可能性を追究するに至った。
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