研究課題/領域番号 |
18K19350
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
|
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
小早川 高 関西医科大学, 医学部, 准教授 (60466802)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
キーワード | 抗炎症 / 免疫強化 / 低酸素抵抗性 / 危機応答 / 先天的恐怖 / チアゾリン類恐怖臭 |
研究成果の概要 |
低体温療法は心肺停止後の脳を保護する効果を持つ。先天的恐怖は、生命を脅かす状況において生存確率を上昇させる保護効果を統合発揮するように進化してきたと考えられる。そうであれば、強い恐怖感知は低体温・低代謝を基調とする特殊な生命保護代謝を誘発する可能性があるが、そのような現象とその誘発因子はまだ解明されていない。本研究では、TRPA1アゴニストであるチアゾリン関連恐怖臭(tFO)が、冬眠に似た全身性低体温・低代謝を誘導し、脳内のグルコース取り込みを促進し、ピルビン酸脱水素酵素のリン酸化を介した好気性代謝を抑制することで、致死的な低酸素環境下での長期生存を可能にするという新たな現象を発見した。
|
自由記述の分野 |
融合生物学、代謝、免疫、感覚、神経
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
免疫機能全般が抑制される冬眠状態とは対照的に、tFO刺激は、抗低酸素能力に加え、自然免疫の強化と抗炎症作用の同時誘導を基盤とする危機応答免疫状態を誘導した。これら危機応答の統合により、皮膚および脳の虚血・再灌流障害モデルにおいて強力な治療効果が発揮された。さらに、全脳マッピングと薬理遺伝学により、tFOの感覚刺激情報は脳幹Sp5/NSTから中脳PBN経路へ接続する経路により生命保護作用を誘導することが明らかになった。TFOによって誘発された強い危機知覚は、低体温、低代謝、危機免疫を特徴とする危機対応モードに代謝を移行させ、潜在的な生命保護効果を最大化させる。本発見は革新的医療に応用できる。
|