研究課題
本研究の当初の目的は、客観性と定量性を担保した実験系に基づき「霊長類の精液凝固の定量」をおこない、「生殖関連分子と霊長類社会」の関連性を検証することであった。具体的には、1)精液凝固の担い手である精しょうタンパク、セメノジェリン(SEMG)の遺伝子構造を多種の霊長類で決定し、2)そのDNA配列情報をもとに試験管内でタンパク合成・凝集を定量化し、3)当該霊長類の社会構造との関連を評価し、4)また可能であればSEMGタンパク質の機能の一端を解明することを目指した。前年度までに、規模は縮小したものの、上記1)から4)までの結果が得られたので、最終年度の本年度は、研究の総括と、今後の展開に繋げるための足場整備をした。霊長類から他の哺乳類への展開をサポートするべく、各種哺乳類のDNA試料の保存を進めた(およそ90種)。細胞試料に関しては、60種について生きた状態で保存・整理した。既存の霊長類細胞を用いたiPS細胞の作成について、京都大学旧霊長類研究所のスタッフと検討を開始した。また、新たな試料の収集に向けて、国内園館との協力体制を築いた。具体的には、テナガザルについては愛媛県立とべ動物園、哺乳類一般については豊橋総合動植物公園、野生ニホンザルについては(株)地獄谷野猿公苑、本土産大型哺乳類については山ノ内猟友会に協力依頼をした。将来の国際共同研に向けては、テナガザル・マカクについてタイ王国・コンケン大学医学部の協力体制を確認した。
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Acta Ethologica
巻: 26 ページ: 45-58
10.1007/s10211-023-00412-w
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