研究課題
本研究は、アオミドロなどの糸状性の多細胞体制をもつ種と二次的に単細胞に進化したヒメミカヅキモなどの種を含むシャジクモ藻綱ホシミドロ目に注目し、多細胞体制の維持と機能分化に関わる転写因子を特定し、複雑な細胞分化を遂げた陸上植物への進化において原動力となった要因を提案することを目的としている。糸状性のアオミドロSpirogyra parvulaについて、ゲノムDNAを抽出し、得られたショートリードデータとNanopore long read dataをアセンブルした結果、total scaffold sizeが約56.6 Mb, scaffold数が32、Scaffold N50が2.66 Mb程度であると推定された。また、アセンブルされたゲノムから予測された転写因子遺伝子の機能を逆遺伝学的に解析するため、さらに遺伝子導入系の確立を試みた。ヒメミカヅキモでの形質転換において有効であったCab遺伝子の相同遺伝子を探索し、そのプロモーターを取得した。さらにアオミドロ用にコドン使用頻度を合わせたgfp遺伝子を合成し、プロモーター下流に連結した。このコンストラクトをパーティクルガンでアオミドロに撃ち込んだところ、緑色蛍光を発する細胞を確認した。このコンストラクトの有効性が確認出来たため、さらにエレクトロポレーションによる安定形質転換体作出を目指したが、成功には至らなかった。ヒメミカヅキモについては、MADS-box遺伝子破壊株が、細胞分裂が異常を示すという表現型が見られた。また、ヒメミカヅキモのMADS-box遺伝子を、ヒメツリガネゴケのmads-box欠損株に入れて、機能相補出来るかどうかを検証を進めた。
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New Phytologist
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