本研究では、微生物組成が比較的単純であることが予想され、光(昼夜)以外の外環境がほぼ一定である硫酸酸性温泉における光合成性微生物マットを研究室内で培養することで、微生物環相互作用を研究する例を提示することを目的とした。 前年度までに、本マットで優占する微細紅藻シアニジウムの増殖が無機窒素源濃度により律速されることが判明していた。今年度は新たに採集した硫酸酸性温泉マットを、当地の環境水または硫酸アンモニウムを加えて無機窒素源濃度を高めた環境水中で培養し、それぞれの培養におけるマット中の微生物相変化をアンプリコンシーケンスにより解析した。その結果、無機窒素源濃度によりシアニジウムの増殖が律速されるものの、それ以外の主要微生物群の組成は大きくは変化しないことが明らかとなった。
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