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2021 年度 実績報告書

生物-地質カップリングを基にした、生態系ストイキオメトリー概念の構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K19367
研究機関総合地球環境学研究所

研究代表者

陀安 一郎  総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 教授 (80353449)

研究分担者 申 基チョル  総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (50569283)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2022-03-31
キーワード安定同位体 / 生態系ストイキオメトリー / 非伝統的同位体
研究実績の概要

最近の研究では、主要栄養元素であるカルシウム(δ44/40Ca)と非必須元素のストロンチウム(δ88/86Sr)の安定同位体比が、陸上脊椎動物や海産魚類の新しい栄養段階指標となる可能性が示されている。本研究では、大型無脊椎動物を主体とする河川食物網において、その生理的な違いにもかかわらず、脊椎動物と同様のCaおよびSr同位体分別の傾向が存在するかどうかを検証した。琵琶湖集水域の上流と下流で、河川大型無脊椎動物、小型ハゼ類とその潜在的金属源(河川水、礫面付着物、陸上植物リター)のδ44Ca、δ88Sr値、および87Sr/86Srを決定した。87Sr/86Srから、カワゲラ幼虫、甲殻類、ハゼ類は主に水生Sr源に依存していることが明らかになった。ガガンボ、トビケラ、カゲロウ、ヘビトンボ、トンボの幼虫の87Sr/86Srが高いことから、植物リターを介した陸上からの寄与が大きいことが示唆された。δ44Caとδ88Srの正の相関は、同様のCaとSrの供給源が存在し、Srは必須ではないがCaとSrの安定同位体比が同様の同位体分別傾向を示すことを示唆した。また、δ44Caとδ88SrはSr/Ca比と正の相関、δ15Nと負の相関を示し、CaとSrの安定同位体比に栄養段階効果があることが示唆された。また、大型の流下有機物食のトビケラ幼虫における44Caと88Srの濃縮は、これらの栄養段階効果の例外であった。海産魚類と陸産脊椎動物の栄養段階効果である44Caと88Srの減少は、大型無脊椎動物を主体とする河川食物網においても、その生態は異なるものの存在することが確認され、細胞レベルあるいは分子レベルでCaとSr同位体分別のメカニズムがこれらの分類群間で共通なものであるかもしれないと考えられる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Calcium and strontium stable isotopes reveal similar behaviors of essential Ca and nonessential Sr in stream food webs2022

    • 著者名/発表者名
      Nitzsche Kai Nils、Wakaki Shigeyuki、Yamashita Katsuyuki、Shin Ki‐Cheol、Kato Yoshikazu、Kamauchi Hiromitsu、Tayasu Ichiro
    • 雑誌名

      Ecosphere

      巻: 13 ページ: e3921

    • DOI

      10.1002/ecs2.3921

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 多元素同位体手法による環境トレーサビリティ手法の活用2021

    • 著者名/発表者名
      陀安一郎,SHIN Ki-Cheol
    • 学会等名
      JpGU Meeting 2021

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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