研究課題/領域番号 |
18K19369
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
斎藤 哲一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00202078)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 遺伝子 / 神経幹細胞 / 発生・分化 / 細胞・組織 / 発現制御 |
研究実績の概要 |
哺乳類の大脳新皮質の神経幹細胞は、大脳新皮質が形成される過程で、初期には多くの種類の神経細胞を生み出す能力を有する。その能力は、大脳新皮質の形成の進行とともに減衰するが、研究の困難さもあり、初期の神経幹細胞の多能性には不明な点が多い。研究代表者らが初期の神経幹細胞で発見し名付けたNeproタンパク質は、研究代表者らのノックアウトマウスの解析で示されたように初期胚の発生に必須であり、各脊椎動物にホモローグが1つあるが、無脊椎動物にはホモローグが存在せず、核移行シグナル以外のモチーフを有さないことなどユニークな多くの性質を持つ。研究代表者らが作製し精製したNeproタンパク質に特異的な抗体を用いて、マウスの大脳新皮質が形成される時期に詳細な経時的解析を行い、初期の神経幹細胞の細胞分裂のS期に、Neproタンパク質は核小体に局在することが明らかになった。研究代表者らが開発した電気穿孔法による微小マウス胎仔への遺伝子導入法を用いて、マウス胎仔の個体内で大脳新皮質が形成される中、初期の神経幹細胞でNeproを強制発現させると、神経細胞への分化が阻害され神経幹細胞の状態で留まる。さらに、研究代表者らが初期の神経幹細胞で見つけた他の核タンパク質の遺伝子とともに神経幹細胞で強制発現させると、分化停止能が著しく亢進することが見出され、核小体タンパク質Neproは、他の核タンパク質と協働して、初期神経幹細胞の多能性維持で機能していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画の通り、大脳新皮質の初期の神経幹細胞におけるNeproタンパク質の機能や、Neproと協働的に働く候補因子が同定されるなど、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は順調に進み研究成果も挙がっており、計画通りの推進で良い。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウス個体を用いた解析等が、極めて順調に進行し、計画よりも少ない数の動物実験等で結果が得られたため、使用額が計画を下回った。2019年度は、次世代シークエンス等の高額な実験があり、研究の推進に有効に利用する。
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