本研究は多くの社会的な意義を持つ。第1に、マーモセット安楽死個体卵巣から受精卵を作出する技術は、宿主をマウスとする為、多数のマーモセット飼育が避けられ、経費と労力を抑制できる。第2に、精神・神経疾患と深く関連する、汎用のモデル動物作製は、霊長類の脳構造・機能マップ作成に貢献する。第3にマウス胚盤胞補完法は、他の動物種ES/iPS細胞の多能性検証にも応用できる。第4に異種を宿主として受精卵生成を試みることで、マウスとマーモセットの共通原理の発見につながる。その成果は、ヒト生殖医療において、ヒト卵巣の維持・保存・成熟卵子の成長を、異種動物の環境下で可能とする方法開発への発展が期待される。
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