研究課題/領域番号 |
18K19383
|
研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
岡戸 晴生 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳発達・神経再生研究分野, プロジェクトリーダー (60221842)
|
研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
キーワード | RP58 / 神経前駆細胞 / Mcl1 / OSVZ |
研究実績の概要 |
大脳皮質は高次脳機能を担う場であり、大脳皮質を構成する細胞数は、高次脳機能の質を規定すると予想されている。本研究では、細胞周期離脱を人為的に遅らせて、ニューロン数の飛躍的増加を試みる。そして「大脳皮質のニューロン数が高次機能を規定している」という仮説を検証する。 大脳皮質を構成するニューロン数を増加させることができるのか?「細胞周期離脱を遅延させることにより、ニューロン数を増加させることができる」という原理が実証された場合、脳の進化を考える上で意義は大きい。 RP58を欠落させることにより、細胞周期離脱を抑制し、マウスでも霊長類型の前駆細胞層を形成させるために、適当なタイミングでRP58の発現を停止/再開する。人為的な遺伝子の発現制御ができるFASTシステム(Tanaka et al., 2010)を用いる。 神経前駆細胞でトランスサイレンサー(tTS)を発現するマウス(Mlc1-tTSマウス)を理化学研究所より導入し、すでに作製済のtTSの結合部位(tetO)をRP58の上流に持つ、tetO-RP58マウスとMlc1-tTSマウスを交配させた。その結果、前駆細胞においてRP58を欠落させ、OSVZ様構造を作製させる。OSVZ用構造作製後ドキシサイクリンでtTSの作用を阻害することにより、RP58の発現を再開させる予定である。 現在RP58の上流にtetO配列を挿入したマウスとMcl1-tTS発現マウスを交配し、その子孫の行動解析を行なっている。オープンフィールドテスト(30分)の結果は、Mcl1-tTS、tetO homo は、多動であり馴化しない。むしろ徐々に行動量が増える傾向がある。これは、想定通り、前駆細胞でRP58の発現が低下していることをし察している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RP58tet0,Mcl1-tTSマウスの行動解析により、RP58の減少の表現型が観察されている。
|
今後の研究の推進方策 |
行動解析ののち、固定、切片作成し、組織の解析を行う。特にOSVZの拡大がされているか否かを検討する。また、ドキシサイクリンをE16 に投与し、OSVZからニューロン分化を促し、脳拡大するか否か、検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子組み換えマウスの行動解析までできたが、その後の組織解析が次年度に回ったので、その分を翌年度分と合わせて組織解析に使用する。
|
備考 |
http://www.igakuken.or.jp/project/detail/differentiation.html
|