研究課題
大脳皮質は高次脳機能を担う場であり、大脳皮質を構成する細胞数は、高次脳機能の質を規定すると予想されている。例えば、げっ歯類の大脳皮質に比べ霊長類の大脳皮質では、より多くのニューロンが働いている。本研究では、細胞周期離脱を人為的に遅らせて、ニューロン数の飛躍的増加を試みる。そして「大脳皮質のニューロン数が高次機能を規定している」という仮説を検証する。大脳皮質を構成するニューロン数を増加させることができるのか?「細胞周期離脱を遅延させることにより、ニューロン数を増加させることができる」という原理が実証された場合、進化を考える上で意義は大きい。もしできた場合、大脳皮質の組織学的変化、個体レベルの行動学的変化を明らかにする。組織学的には、例えば、脳梁などの交連絡繊維の拡張はあるのか?前頭葉の発達は?シナプス密度は?行動はどのように変化するのか? 認知機能、社会行動の向上はあるのか?等を明らかにする。これらの知見から、脳の大きな意味での可塑性を理解することが可能となる。2020年度は、神経前駆細胞でトランスサイレンサー(tTS)を発現するマウス(Mlc1-tTSマウス)と、tTSの結合部位(tetO)をRP58の上流に持つ、tetO-RP58マウスを交配させ、E16ーE18でドキシサイクリンでtTSの作用を阻害することにより、Pax6陽性細胞の増加の兆候を見出し、その定量解析を進めるている。
3: やや遅れている
研究計画のマウスの交配に時間がかかっため、終了することができきず、一年延長した。
マウスの組織学的解析、行動学的解析を行う。
マウスの交配が予定より遅れたために試薬の購入が進まなかったため、未使用額が生じた。次年度も引き続き解析を進めるため、試薬や実験動物の購入に使用する。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Experimental Neurology,
巻: 337 ページ: 113552
10.1016/j.expneurol.2020.113552.
Br J Pharmacol.
巻: 178 ページ: 813-826
10.1111/bph.15265.