研究課題/領域番号 |
18K19391
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
林 久允 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (10451858)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 小児遺伝性肝疾患 / 診断 / マクロファージ / 表現型解析 |
研究実績の概要 |
小児遺伝性肝疾患群では、臨床診断の後、遺伝子検査による病因変異の同定を以って各疾患の確定診断がなされる。しかしながら変異が検出できない、あるいは病因変異とrare normal variantの区別が出来ない等の理由により類似疾患との鑑別に難渋し、確定診断に至らない症例が散見される。小児遺伝性肝疾患群では、疾患毎に治療指針が異なり、その適切な選択が予後に直結する。従って、各疾患を発症早期に正確に鑑別する新たな診断法の確立は喫緊の課題である。実臨床で生じる本課題は、遺伝子異常の直接的な検出を試みる、現在の遺伝子診断法の限界に起因する。本現状を打破すべく、本研究では、遺伝子の機能発現の有無に立脚した診断法の開発に挑む。すなわち、各疾患原因遺伝子の機能発現を低侵襲且つ簡便に検出する方法論を開発する。 本年度は、不死化細胞株THP-1において各疾患の原因遺伝子の発現を抑制し、疾患モデルマクロファージを構築した。さらに当該モデル細胞株を用いた種々の解析を行い、各疾患に特異的に生じうる表現型を同定することに成功した。次年度は当該患者の末梢血単球からマクロファージを分化誘導し、本年度に見出した表現型異常が観察されるかを検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では初年度に不死化細胞株において各疾患原因遺伝子の発現を抑制し、疾患モデルマクロファージを構築するとともに、当該細胞株を利用し、各疾患に特異的に生じうる表現型を同定することを目標としている。当初目標に準じた進捗が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に同定した表現型異常が、当該患者の末梢血由来のマクロファージにおいて認められるかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定より少ない解析数で各疾患に特異的に生じる可能性のある表現型異常を同定することができたため、次年度使用額が生じた。当該額の利用により、疾患患児の検体を利用した検証実験の例数を当初予定より増やすことが可能となる。本研究からより確固たる結論が得られるものと期待される。
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