研究課題
小児遺伝性肝疾患群では、臨床診断の後、遺伝子検査による病因変異の同定を以って各疾患の確定診断がなされる。しかしながら変異が検出できない、あるいは病因変異とrare normal variantの区別が出来ない等の理由により類似疾患との鑑別に難渋し、確定診断に至らない症例が散見される。小児遺伝性肝疾患群では、疾患毎に治療指針が異なり、その適切な選択が予後に直結する。従って、各疾患を発症早期に正確に鑑別する新たな診断法の確立は喫緊の課題である。実臨床で生じる本課題は、遺伝子異常の直接的な検出を試みる、現在の遺伝子診断法の限界に起因する。本現状を打破すべく、本研究では、遺伝子の機能発現の有無に立脚した診断法の開発に挑む。すなわち、各疾患原因遺伝子の機能発現を低侵襲且つ簡便に検出する方法論を開発する。本年度までに不死化細胞株THP-1において各疾患の原因遺伝子の発現を抑制し、疾患モデルマクロファージを構築した。本細胞を用い種々の解析を行い、各疾患に特異的に生じうる表現型を同定することに成功した。さらに当該患者の末梢血単球からマクロファージを分化誘導し、THP-1から見出した表現型異常が観察されるか検証を開始した。これまでに目標症例数の約半数のデータ取得を完了している。
3: やや遅れている
本研究では小児期発症の難治性稀少肝疾患群を対象とし、血球細胞の表現型差異に基づいた鑑別法を樹立する。本年度までに各対象疾患の原因遺伝子が血球細胞表現型に及ぼす影響を遺伝子ノックダウンにより確認している。当初計画では、本年度に患児の末梢血を用い検証試験を実施し、完了する予定であった。しかしながら、研究開始時に参加同意が得られていた患者の死亡、転居などが理由で、当初予定研究期間内に目標症例数に至らなかった。研究期間を1年間延長し、本研究目的のより精緻な達成を目指すこととした。
本年度までに同定した、各疾患の原因遺伝子ノックダウンにより生じるマクロファージの表現型異常が、患者末梢血由来のマクロファージにおいて認められるかを検証する。
本研究では小児期発症の難治性稀少肝疾患群を対象とし、血球細胞の表現型差異に基づいた鑑別法を樹立する。本年度までに各対象疾患の原因遺伝子が血球細胞表現型に及ぼす影響を遺伝子ノックダウンにより確認している。当初計画では、本年度に患児の末梢血を用い検証試験を実施し、完了する予定であった。しかしながら、研究開始時に参加同意が得られていた患者の死亡、転居などが理由で、当初予定研究期間内に目標症例数に到達しなかったため、次年度繰越金が生じた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 8件)
Hepatology Research
巻: 50 ページ: 754~762
10.1111/hepr.13494
Scientific Reports
巻: 9 ページ: -
10.1038/s41598-019-53628-x