バキュロウイルス(BV)筋注により誘導された自然免疫応答が肝臓期マラリア原虫を排除していることをIFN-RKOおよびIFN-RKOマウスを用いて解明した。プリマキンでは、感染24時間後の肝臓内原虫を排除することはできず、BV効果がプリマキンを上回っていることが明らかとなった。このメカニズムとして、BVが誘導する抗肝臓期マラリア原虫活性はIFN- aからのシグナル伝達による自然免疫応答メカニズムが大きく関与することが明らかとなった。 本研究の意義は、三日熱マラリアの根治治療に使用されている唯一の薬プリマキンは、多くの禁忌、副作用があり三日熱マラリアコントロールの障害となっている。BVが誘導する自然免疫応答が肝臓期マラリア原虫に対して強力な殺傷効果を発揮するメカニズムを一部解明できたことは、BVを利用したプリマキンに替わる新しいコンセプトの抗マラリア新薬の開発につながる。
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