研究課題
本研究の目的は、「全く新しい細胞死形態フェロトーシスの誘導に脂質ラジカルが関与し、そして疾患を誘発する」、との仮説を明らかにすることである。昨年度までに、我々が開発した脂質ラジカル検出プローブを用いて、フェロトーシス誘導時に脂質ラジカルが生成し、蛍光イメージングの結果、細胞膜あるいは小胞体にて脂質ラジカルが生成していることがわかった。そこで本年度は、1)フェロトーシス誘発時に脂質ラジカルは産生しているか、2)フェロトーシスが疾患発症に関与しているか、について検討した。1)フェロトーシス誘発時に脂質ラジカルは産生しているか昨年度の結果を踏まえ、一般性を示すために、複数の刺激、及び細胞株を用いて検討した。その結果、確かに、フェロトーシス誘導時に脂質ラジカルが生成していること、またこのプローブの添加のみで細胞死を抑制することがわかった。また、興味深いことに、フェロトーシスの細胞株間で感受性差と、蛍光プローブの強度にある相関がある可能性が示唆された。2)フェロトーシスが疾患発症に関与しているか我々は、これまでに脂質ラジカル抑制剤の化合物スクリーニング系を構築し、実際に複数の候補化合物を見出している。そこで、本脂質ラジカル抑制剤が、フェロトーシスを抑制するかどうか検討した。培養細胞にRSL3あるいはエラスチンなどでフェロトーシスを誘導したところ、化合物濃度依存的にフェロトーシスを抑制することがわかった。また、本化合物は、疾患モデルでも同様に、顕著な抑制効果を示すことがわかった。以上の結果より、確かに脂質ラジカルがフェロトーシスの誘発に関与しており、その生成部位、あるいは抑制剤の探索などは、疾患のメカニズム解明や治療などに大いに貢献できると期待している。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件) 学会発表 (20件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
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