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2018 年度 実施状況報告書

免疫寛容によるAnti-Drug Antibodies産生を抑制する基盤的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K19406
研究機関九州大学

研究代表者

植田 正  九州大学, 薬学研究院, 教授 (90184928)

研究分担者 宗 孝紀  富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 教授 (60294964)
研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2020-03-31
キーワードADAs / 免疫寛容 / リゾチーム / Fab / CH2ドメイン
研究実績の概要

本研究はニワトリリゾチームを多量体(混合物)化してそれを実験動物(ラット)に投与し、その約1週間後にニワトリリゾチームの単量体を投与してもニワトリリゾチームに特異的な免疫応答(一般にニワトリリゾチームはラットに対しては異種蛋白質であり免疫応答反応が起こる)が生じない現象(再現性あり)を梃子に実験を計画している。免疫寛容が誘導されているラットにリゾチームとは異なる蛋白質(オボアルブミン)を投与した場合は、オボアルブミンに対して免疫応答が生じていることから、抗原(リゾチーム)特異的な免疫寛容と判断している。2018年度では、この結果をとりまとめ昨年度中に論文を投稿したがまだ採択にはいたっていない。
申請計画に記載しているように、我々の研究室で調製済みのヒト型Fabを用いて多量体化を二価性架橋試薬にて架橋を試みた。反応条件設定が難しく、反応時間、試薬の濃度等、種々の実験条件を検討した。その結果、SDS-PAGEで3量体以上のヒト型Fabが生成していることを確認し、ゲルクロマトグラフィーにて3量体以上の画分を得ることに成功した。一方、抗体医薬品を構成するCH2ドメインの多量体を用いて免疫実験を行うため、酵母(Pichia pastoris)を用いて、CH2ドメインの発現を行った。CH2ドメインはN型糖鎖付加配列(Asn-Ser-Thr)を持つので、その部位に糖鎖が付加したものも併せて入手できた。CH2ドメインは不安定であることが知られており、凝集性が高い。既報の条件で精製した場合、凝集体が生じ回収率が非常に低下した。そこで凝集体を形成しない精製方法を検討した。その結果、凝集体を含まないCH2ドメインの精製方法を確立した。また、糖鎖が付加したヒト型CH2ドメインの大量発現方法は、これまで報告されていなかったので、当初の計画にはなかったが論文としてとりまとめ現在投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請計画ではニワトリリゾチームと異なる蛋白質の多量体化を実施し、それを用いて抗原特異的に免疫寛容が誘導されるかどうかを検討することとなっている。ヒト型Fabについては、我々の研究室ですでに調製済みであるが、多量体化の条件検討が予想以上に時間がかかったので、現段階では、当初の計画よりやや遅れている。ただ、申請計画に記載している内容については、2019年度中に終了できる見込みである。

今後の研究の推進方策

多量体化したヒト型Fab、ヒト型CH2ドメインなどの蛋白質を多量体化し、それらを実験動物に投与したのちに、それぞれの単量体蛋白質を実験動物に投与し免疫応答を解析する。その結果を踏まえて、多量体化による免疫寛容応答の誘導はニワトリリゾチームに特異的なものか否かを判定する。広く蛋白質に利用できる場合は、抗体医薬品(当面、入手可能なリツキシマブを使用)に応用する。また、リゾチーム特異的なものであれば、蛋白質の分子量、電荷等に着目して、どのような仕組みでリゾチーム特異的な免疫寛容現象が生じているのかを解析する。

次年度使用額が生じた理由

平成30年度に取りまとめた研究成果を現在論文に投稿中である。この論文掲載料を確保しておく必要があったため平成30年度末まで一部の金額を未使用としていた。次年度(令和元年度)では、この経費は、論文掲載料に使用する予定である。しかしながら、現在投稿中の雑誌は、科研費の趣旨に沿ったオープンジャーナルであり、掲載料が20万円程度必要である。もし、この雑誌に不採択になった場合は、一般の国際誌に投稿するため、この金額は研究を多角的に推進するための物件費(実験動物と実験試薬)に用いる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 酵母Pichia pastorisを用いたヒトCH2ドメインの大量発現系の確立2018

    • 著者名/発表者名
      小山浩舗、大栗誉敏、阿部義人、植田正
    • 学会等名
      第35回日本薬学会九州支部大会

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公開日: 2019-12-27  

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