本研究では、ヒトiPS由来の心筋細胞と自律神経と共培養し機能的に接続させることで「高次機能制御系を組み込んだ心筋組織の作製」を行うことを目的とした。誘導したヒト自律神経への光活性化イオンチャネル(ChR2: チャネルロドプシン2)の発現と神経活動制御を行う光刺激条件を同定し、自律神経シグナルにより心筋拍動を拮抗的に制御することに成功した。また、この共培養システムの神経由来心毒性のアッセイ系としての有用性についても示唆された。 本研究では、我々の独自技術であるヒト自律神経の作製技術を基に、ヒト心筋とヒト自律神経の機能的結合に世界で初めて成功している。また、神経由来の心毒性についてもこの共培養系を用いることで評価できる可能性が示唆されている。本研究の成果を基に、神経支配を再現した多臓器培養モデルへと発展させることで、疾患状態を含め様々な生体状態を再現することが可能となり、医薬品スクリーニングの汎用性を高めることが期待される。
|