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2018 年度 実施状況報告書

キンカチョウを用いた網膜中心窩の形成メカニズムの探索

研究課題

研究課題/領域番号 18K19427
研究機関大阪大学

研究代表者

古川 貴久  大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (50260609)

研究期間 (年度) 2018-06-29 – 2020-03-31
キーワード網膜 / 黄斑 / 視覚 / キンカチョウ
研究実績の概要

我々は多くの鳥類で中心窩が形成されることから、聴覚学習の研究などでモデル生物として用いられているキンカチョウの中心窩形成ステージの観察を行った。複数の発生段階のキンカチョウのヒナの中心窩領域の凍結切片を作製し観察したところ生後14日前後にキンカチョウの中心窩が形成されることがわかった。生後14日のキンカチョウ網膜から中心窩と周辺部の微小組織を摘出した。この微小組織からtotal RNAを精製し、次世代シーケンサーによるRNA-seq解析を行うことで中心窩と周辺部の遺伝子発現プロファイルを比較したところ、遺伝子発現が2倍以上に上昇する57個の遺伝子と半分以下に減少する43個の遺伝子を同定した。これらの遺伝子について、キンカチョウの網膜を用いたin situ ハイブリダイゼーションによる2次スクリーニングを行い、中心窩領域と周辺領域で発現が異なる遺伝子の同定に成功した。この遺伝子は細胞骨格の制御を行う蛋白質をコードすることを見出した。中心窩の形成に関わっている可能性が十分考えられる。我々は、この遺伝子の網膜組織における経時的な局在の解析から、キンカチョウ網膜のミューラーグリアに発現することを見出した。中心窩が存在しないマウス網膜ではこの遺伝子は発現していないことも確認した。網膜のミューラーグリアは、網膜組織の構造を支える機能が知られていることから、この遺伝子のミューラーグリアにおける機能に注目して機能メカニズムの解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

キンカチョウの発生途上の網膜の中心窩領域と周辺領域で発現が異なる遺伝子の同定に成功した。この遺伝子は細胞骨格の制御を行う蛋白質をコードすることから、中心窩の形成に関わっている可能性が十分考えられる。今後、申請計画に沿って、この遺伝子の機能解析を行い、中心窩形成の分子メカニズム解明を進めることができるため。

今後の研究の推進方策

我々は本年度の研究から、中心窩領域と周辺領域で発現が異なる遺伝子の同定に成功した。さらに我々は、この遺伝子が網膜のミューラーグリアに発現することを見出した。この遺伝子は細胞骨格の制御を行う蛋白質をコードすることから、この蛋白質の過剰発現によって、中心窩が存在しない、マウス網膜に中心窩が形成されるか検証する。具体的には、この遺伝子を発生期のマウス網膜に、in vivoエレクトロポレーションで導入し、組織を解析し形態の変化を観察する。in vivoでの変化が困難な場合は、HEK293細胞、PC12細胞やミューラーグリアの培養細胞株にこの遺伝子を導入し、形態の変化を観察する。また、この蛋白質が細胞骨格の制御に関係するかどうか、培養細胞を用いた免疫沈降法によって相互作用する蛋白質を同定し、その機能メカニズムを明らかにしていく。これらの、生化学的、組織学的、発生学的解析から、この蛋白質の中心窩形成における機能メカニズムを明らかにして、いままでまったく未知であった中心窩形成機構の理解を進め、論文としてまとめて報告する。

次年度使用額が生じた理由

平成30年6月18日に発生した大阪北部地震で、8階に位置する研究室が多数の器機や試薬の損壊を受けるなど甚大な被害を受け、実験の一時中止を余儀なくされ、研究再開のために時間と労力を要し、研究の進行が一時滞ったため繰り越しが必要になった。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] キンカチョウ網膜を用いた中心窩形成の分子メカニズムの解明2018

    • 著者名/発表者名
      杉山剛文, 大森義裕, 今鉄男, 吉原大貴, 鈴木穣, 安部健太郎, 渡邉大, 古川貴久
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会

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公開日: 2021-03-11  

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