研究実績の概要 |
(1)今年度新規に膜近傍のPIPsを検出するのに適したFRET型のPH domain融合たんぱく質であるf-PLC(PI(4,5)P2感受性)およびf-TAPP(PI(3,4)P2感受性)を導入し、voltage clamp fluorometry法によりPI(4,5)P2およびPI(3,4)P2の変化の時間分解能の向上をはかった。予測通り、VSP酵素活性に伴う速い変化を捉えることができるようになった。一方、予想外の結果として、PIP3からPI(3,4)P2を生成する内在性酵素活性のシグナル強度が極めて低いことが明らかになった。f-PLCで検出されるVSPのPI(4,5)P2->PI(4)P活性には影響が見られなかった。このことから、内在性酵素活性については、平成30年度の結果においても観察されたように、イノシトールリン脂質のプローブの種類によって検出のされかたが異なることが明らかになった。PI(3,4)P2感受性チャネルであるXenopus tropicalis由来TPC2の電位依存的活性化をXenopus oocyteに発現させるとPI(3,4)P2の増加を反映する電流が検出されることから、平成30年度の実験により確認したようにプローブによるアーチファクトではないことは確かであり、VSPと内在性活性の間でアシル基の多様性により基質へのpreferenceが異なるという可能性と、プローブの種類が異なることで検出されるPIPsの細胞内分布が異なる可能性、即ち同じPI(3,4)P2でも空間的分布パターンがVSPの場合と内在性活性の間で異なると考えられる。 (2)アフリカツメガエル卵母細胞とアカハライモリ卵母細胞でトランスクリプトーム解析による比較により新規膜電位依存性酵素の分子実体を明らかにすることを目的として、アカハライモリを入手したが、質の高いRNAを得る条件検討が十分に進まなかった。
|