研究課題
本研究では、モデル生物として線虫C. elegansを用い、腸管に発現する広い基質選択性を示すアミノ酸トランスポーターとオリゴペプチドトランスポーターを共にノックアウトすることで、線虫において個体レベルでアミノ酸アベイラビリティを低下させるモデルを構築した。このモデルの構築においては、腸管に発現する広い基質選択性を示すアミノ酸トランスポーターを探索し、系統的な発現解析と輸送機能解析により、AAT-6を選別した。しかし、AAT-6の単独のノックアウトでは有意な表現型は得られなかったため、オリゴペプチドトランスポーターPEPT-1に着目し、AAT-6とPEPT-1の共ノックアウトにより、産卵数がゼロになる強い表現型が得られることを示し、目的のモデルを完成した。AAT-6/PEPT-1共ノックアウト線虫は、有意な生存期間の延長が観察された。さらに、体長が短くしかも日齢に伴う成長が起こらない表現型も得られた。また、本研究の過程で、AAT-6と制御タンパク質ATGP-1およびNRFL-1とのタンパク質間相互作用が示されたが、特にNRFL-1は日齢(aging)にともなうAAT-6の内在化を阻止し、AAT-6を管腔側膜に維持することが明らかになった。さらに、本研究では、アミノ酸トランスポーター阻害による細胞内遊離アミノ酸量の変動解析と連動させて、変動するシグナル系を解析し得るリン酸化プロテオーム解析を最適化でき、培養細胞において成果を出せた。細胞へのアミノ酸アベイラビリティを低下させることで大きなリン酸化プロテオームの変動が生じ、特に細胞周期、タンパク質合成、細胞骨格制御に関わるシグナル系に大きな変化が見られることが明らかになった。これにより線虫のアミノ酸アベイラビリティの変動によるシグナル系変動の網羅的な把握が現実的となり、現在その検討を進めている。
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