研究課題
プロリン異性化酵素とは、リン酸化Ser/Thr-Pro配列を認識し、プロリンとそのN端側のアミノ酸との間のペプチド結合をペプチド結合のcis-trans異性化を介し標的タンパクの機能変化を誘導するユニークな酵素である。我々は、Pin1が、過栄養状態のマウスの肝臓、筋肉、脂肪組織で顕著(5-10倍程度)に増加することを見出した。Pin1は、肝や脂肪細胞では、Pin1はIRS-1、Crtc2、AMPK、PRDM16、SIK2等の代謝調節に重要な多数のシグナル伝達や転写因子に結合することで、脂肪蓄積や脂肪細胞分化を促進することを報告した。また、Pin1は、中性脂肪分解酵素であるHSLとATGLに強く結合して分解を促進する一方、脂肪合成に関与するACC1に対しては安定化させて発現量を増加させることが判明した。興味深いことに、Pin1は脂肪細胞において、熱産生を担っているUCP-1の発現を抑制することを見出した。機序としては、その転写調節に関与するPRDM16に結合し、ユビキチン、プロテオソームによる分解を誘導することであった。一方、マウスを4℃に24時間おくと、Pin1の発現量が上昇することを見出した。同様の温度変化によるPin1量の制御は、293細胞などの培養細胞においても認められた。このPin1量の変化は、mRNAレベルでの変化を伴っておらず、タンパクの安定性の変化によるものと考えられる。現在、この温度変化によるPin1タンパクの安定性変化に寄与するPin1内のリン酸化やSUMO化による修飾を検討している段階である。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 6件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件)
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