研究課題/領域番号 |
18K19435
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
草刈 洋一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (80338889)
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研究分担者 |
三尾 寧 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00266686)
立花 利公 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (80163476)
岩本 武夫 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90568891)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 心筋過伸展 / メカノストレス |
研究実績の概要 |
応募者らは、心筋過伸展後に生ずるミトコンドリア内部空胞化に対して、その発症メカニズムを調べた。ミトコンドリアへの過伸展によるメカノストレスは、数分間の過伸展で発症することが確認され、予想以上に早いタイミングで生ずることが明らかになった。一方で、過伸展によるメカノストレスに対するは心筋線維への影響も確認した。数分間の過伸展では、形態的な筋線維崩壊は確認できず、過伸展を解除した心筋は数十分後には伸展前の張力レベルに回復することが確認された。過伸展による影響は、相当早いタイミングでミトコンドリア内膜破壊を導くことが示された一方で、過伸展による心筋線維のダメージはミトコンドリア内部破壊が起きる時間内では十分に回復可能であることも確認された。長期予後に関してはまだまだ確認が必要である。収縮メカニズム機構は保たれていたが、ミトコンドリアは内部破壊されているため、中・長期の回復過程を更に観察することが詳細な病態解析に必須である。今後は、イメージングを中心とした経時的解析に注力し、特に、カルシウムを中心としたイオン動態に着目し、形態イメージングとイオン動態イメージングの相関を確認し、段階的に変化させたメカノストレスと、ミトコンドリア内膜破壊過程と筋線維メカニカルストレスの関連性を詳細に解析する。このことで機能と形態変化の関係を明らかにしていく。ミトコンドリア膜のイオン動態解析、特に筋小胞体とミトコンドリアの接触領域に着目した研究を推し進め、過伸展による形態・機能変化を探索する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミトコンドリア形態の詳細な解析を進める上で、微細構造イメージングは必須である。我々はSTED顕微鏡システムを使用したミトコンドリアイメージングにも着手した。心筋内のミトコンドリアは収縮中に筋線維と一緒に動き、弛緩した際には収縮前とほぼ同じ位置に戻ることが確認された。このことは一般的な細胞でミトコンドリアは微小管で運ばれるという概念とは異なる可能性が示唆された。さらに心筋細胞内のミトコンドリアが収縮中に一緒に動くことから、伸展時も同様に伸展されることが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
過伸展による極早期に発症するミトコンドリア内部破壊が明らかになったので、現在は、In Vivoレベルでの解析を同時並行で進めている。具体的にはラット肺動脈起始部を数十秒間遮断し、右室圧負荷を数十秒間与える。乳頭筋レベルでの結果との相関を確認し、遮断解除後の心収縮回復過程も確認する。組織レベルでの結果と生体レベルとの相関を確認し、ミトコンドリア破壊による生体への影響を引き続き明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた形態観察システム導入が延期したため、それに充当する予定であった金額が翌年度分に使用される予定である。
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