研究課題/領域番号 |
18K19453
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
岡崎 一美 徳島大学, 先端酵素学研究所(プロテオ), 准教授 (50452339)
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研究期間 (年度) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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キーワード | 自己免疫疾患 / PD-1 |
研究実績の概要 |
MRL-PD-1欠損マウスが発症する自己免疫性心筋炎について、これまでに疾患感受性であるMRL-PD-1欠損マウスと疾患抵抗性であるBALB/c-PD-1欠損マウスを用いて連鎖解析を行い、MRL染色体上に5個、BALB/c染色体上に1個、心筋炎感受性遺伝子座を同定している(Mcp (Myocarditis under PD-1 deficiency) 1~6)。MRL由来5遺伝子座(Mcp1~5)をBALB/c系統に導入したコンジェニックマウスを作製することにより、心筋炎の遺伝学的な再構築を試みたところ、MRL由来Mcp1、Mcp3、Mcp4、BALB/c由来Mcp6およびMRL由来Mcp2、Mcp4、Mcp5、BALB/c由来Mcp6の組み合わせの少なくとも2種類の組み合わせで、疾患抵抗性であるBALB/c系統において心筋炎の再構築に成功している。疾患を再構築したマウスと疾患を発症しないマウスを用いて連鎖解析を行う目的で、心筋炎感受性6遺伝子座のうちの3個を有するコンジェニックマウスを作製し、心筋炎の発症頻度を検討した。その結果、Mcp1・4・6、Mcp2・3・6、Mcp2・5・6でも、時期や頻度に差はあるものの心筋炎を発症することを明らかとした。そこで、他の組み合わせで3遺伝子座を有するコンジェニックマウスおよび2遺伝子座を有するコンジェニックマウスを作製することにより、心筋炎の原因遺伝子を効率的に同定できる条件を探索している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
疾患の再構築に必要な個々の遺伝子座を同定し、各遺伝子座が心筋炎の発症に相加的に働くことを明らかにした。疾患の再構築に必要な4遺伝子座のうちの3個を有し、心筋炎を発症しないコンジェニックマウスを用いて、疾患を再構築したマウスとの間で連鎖解析を行う予定であったが、心筋炎の原因遺伝子を同定するためには、今回同定した心筋炎感受性6遺伝子座のうち3個を有するコンジェニックマウスと、2個を有するコンジェニックマウスとの比較が有効である可能性が見出された。当該マウスの作製は順次進めており、心筋炎の発症頻度を確認したうえで、連鎖解析を行う予定である。このため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、心筋炎感受性6遺伝子座のうちの3個でも心筋炎を発症する組み合わせがあることを明らかにした。そこで、現在作製中の、他の組み合わせで3遺伝子座を有するコンジェニックマウスおよび2遺伝子座を有するコンジェニックマウスが心筋炎を発症するかどうか検討し、心筋炎の原因遺伝子を効率的に同定できる条件を探索する。心筋炎を発症しないコンジェニックマウスが得られれば、心筋炎を再構築したマウスとのF2交雑マウスを作製し、連鎖解析を行って心筋炎の原因遺伝子の同定を試みる。また、同定した遺伝子について、心筋炎再構築マウスにおいてMRL型からBALB/c型に置換したノックインマウス、あるいは心筋炎を発症しないBLAB/cマウスにおいてBLAB/c型からMRL型に置換したノックインマウスを、CRISPR/Cas9システムを用いて作製し、原因遺伝子であることを証明する。さらに、心筋炎感受性6遺伝子座のうち2個を有するコンジェニックマウスについて、リンパ球の発生・分化、活性化状態、モデル抗原に対する免疫応答等を解析し、その遺伝子座が有する免疫学的特性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、心筋炎感受性6遺伝子座のうちの3個を有し、心筋炎を発症しないコンジェニックマウスを用いて連鎖解析を行う予定であったが、心筋炎の原因遺伝子を効率的に同定するためには、より多くの組み合わせのコンジェニックマウスを作製して解析する必要性が生じたため。これらのマウスを作製し、心筋炎の発症の有無を確認するとともに、有効と判断したマウスの組み合わせを選別し、連鎖解析を行う。
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